看護師を辞めたい理由は疲れた?つらい?やめたい時の対処法を新人・40代など状況別に紹介

仕事が辛い 2024.03.14

看護師は、人に必要とされる重要な仕事です。しかし、それだけにストレスやプレッシャーを抱えることも多く、なかには仕事辞めたい」「看護師を辞めて違う仕事をしたい」と悩んでいる方もいるでしょう。

ネットコミュニティのYahoo!知恵袋にも、転職志望の看護師の悩み相談であふれているほどです。
 
そこでこの記事では、一般的に多いとされる看護師を辞めたいと思う理由や辞めたくなったときの対処法をお伝えします。

また独自に看護師200人に向けてアンケート調査を実施し、実際にどう感じているのかをお聞きしました。おすすめの看護師転職サイトも紹介するので、退職や転職を考えている看護師の方はぜひ参考にしてください。

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看護師を辞めたいと思う理由は?看護師を辞めたい理由のアンケート結果を公開

看護師を辞めたいと感じている人はたくさんいますが、皆さんそれぞれどんな理由で「辞めたい」と感じているのでしょうか。

看護師200人に向けて独自のアンケート調査を実施し、「辞めたいと思ったきっかけ」についてお答えいただきました。

看護師を辞めたいと思った理由ランキング

<調査概要>
調査日:2022年12月1日~2022年12月15日、2022年12月20日~2023年1月3日
調査方法:インターネットによる選択・記述式回答
調査対象:看護師での職務経験がある方
調査人数:200人

仕事を辞める理由は人それぞれですが、看護師の場合、看護師ならではの環境や悩みから退職を決める人が多いようです。まずは、看護師を辞めるきっかけとして多いものから見ていきましょう。

人間関係のトラブルやストレスを理由に看護師を辞める人が一番多い

看護師を辞めたい理由として多いのが、職場の人間関係です。
 
具体的な例としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 看護師同士の仲が悪い
  • 看護師と医師の関係が悪い
  • 嫌がらせ・いじめ・パワハラがある
  • 噂話や陰口が多い
  • 忙しさから現場が常にピリピリしている

上下関係や派閥、女性同士特有の人間関係の悪さなどにストレスを感じる人が多いようです。
 
病院という限られた空間で逃げ場がない状態であることも、ストレスに拍車をかける原因のひとつとして考えられるでしょう。

また看護業界には、先輩看護師が新人看護師をマンツーマンで指導する教育する「プリシプターシップ制度」という制度があり、「先輩によって指導内容が違う」「担当の先輩との相性が悪い」ということからトラブルに発展するケースもあります。

給料への不満から看護師を辞めたい場合もある

肉体的にも精神的にも負担が大きい看護師の仕事だからこそ、「過酷な仕事のわりに給料が少ない」と不満を抱く看護師は多いです。
 
一般的に看護師は給料が良いというイメージがあり、たしかに首都圏の大病院や有名な美容外科など高収入の職場もあります。

しかし、地方にある小さな病院やクリニックに勤務している看護師のなかには、「給料が低すぎて働くモチベーションが上がらない」と不満を感じている人も少なくありません。
 
また新人看護師の育成など、仕事量や責任が増してくる30代~40代の看護師の場合、「業務量は増えるのに昇給しない」という不満から年収アップを目指して転職する人もいます。

実際に、社会字的なニーズが高い看護師の仕事は再就職がしやすいという現状もあります。看護師の転職が多いのは、こうした看護業界の事情も理由のひとつと言えるでしょう。

体力的な負担が大きい・夜勤がつらい点も看護師を辞めたい大きな理由

看護師の仕事は突発的に発生するものも多く、想像以上にハードワークです。
 
日勤、夜勤、早出、遅出といった不規則なシフト勤務に加えて、残業が発生したり勉強会や研修会があったりと、勤務時間が長くなりやすい傾向にあります。

慢性的な人手不足に陥っている職場では、看護師ひとりひとりにかかる負担が大きく、「休憩が取れない」「残業が当たり前」といった過酷な労働環境になってしまっているケースも少なくありません。

また、入院病棟のある病院で働く看護師の場合、「忙しくて仮眠が取れない」「日勤を終えて数時間で夜勤に入らないといけない」など、夜勤のつらさから仕事を辞めたいと感じる人もいます。
 
さらに、不規則なシフト勤務が原因で、体調を崩してしまう看護師も多いようです。

看護師ならではの「責任が重い・プレッシャーが強い」という理由も

看護師の仕事は、患者さんの命や健康に大きく関わります。

たとえ新人看護師であっても患者さんにとってはひとりの看護師であり、小さなミスが大きなアクシデントにつながりかねないため、常に気が抜けません。
 
ミスをしてしまい、上司や先輩から強く叱責されることもあるでしょう。

 
そうした責任の重さや緊張感などの精神的負担から心身の調子を崩してしまう人もいます。
 
責任感が強い人やプレッシャーに弱い人だと、そうした仕事や職場環境に耐えられず退職してしまうことも多いようです。

仕事と家庭の両立が難しい!というのも看護師を辞めたい理由の一つ

晩婚化が進んだ現在、30代や40代で子供を持つ女性も一昔前に比べてずいぶんと増えました。
 
しかし、過酷な労働環境下で働く看護師も多く、以下のようなことから、家族との時間がなかなか持てない現実に悩む人もいます。

  • 勤務時間が長い、残業が多い
  • 土日や祝日に休みが取れず一緒に出掛けられない
  • 生活が不規則ですれ違い生活になりやすい
  • 急患や急変の対応があり、子供の幼稚園や保育園のお迎えに行けない

ライフステージの変化によって仕事や働き方を見直す人は多いですが、「仕事だけでなく子育ての時間も大切にしたい」「仕事と家庭を両立しやすい仕事に転職したい」という考えから、看護師を辞める人もいるようです。

「休みが取れない」を理由に看護師を辞めたい人も多い

忙しい病院に勤務していると、「思うように休みが取れない」という不満を抱くこともあるでしょう。
 
特に、女性の看護師が多い職場では、妊娠や出産などの長期休暇が重なってしまうこともあります。そうして人手不足が加速することで、より「休みを取りたい」と言いだせなくなってしまうのです。

自分の時間が取れず希望通りに休めない状況が続けば、「何のために働いているのかな…」「激務に追われるだけでやりたいことができない…」と不満やストレスが蓄積されるのも仕方のないことと言えるでしょう。
 
休みが多い仕事に転職したい、と考えて始めてしまうのもうなずけます。

看護師の仕事自体が向いていないと感じ看護師を辞めたい人も

実際に看護師になった後、イメージと現実との違いに悩んでしまう人もいます。
 

特に新人の看護師に多いケースで、「想像以上に過酷だった」「先輩に叱責されて続けていく自信を失った」など、いざ看護師になってみてから自分には向いていないと考えて、医療の現場から離れてしまうことはよくあるようです。

また、看護師は正確かつ迅速な仕事が求められる一方で、最新の医療知識を学び続けなければなりません。
 
せっかく現場に慣れて辛い新人時代を乗り越えても、仕事量は常に多い状態が続きますし、求められる知識やスキルは増していきます。

そうした状況に耐えられない人やマイペースに仕事をしたい人だと、看護師の仕事そのものが向いていないように感じて自信を失ってしまうのでしょう。

患者からのハラスメントやクレームが辞めたい理由になることも

看護師の仕事をしていれば、患者さんとの関わりは避けられません。

よい関係を築けることもあれば、なかなかうまくコミュニケーションを取れない患者さんもいるでしょう。

その中で看護師に対してきつい物言いをしたり命令口調が当たり前のお客様感覚の患者さんへの対応は心折れることもあるかもしれません。

忙しい業務の中で心無い言葉を浴びせられたり理不尽な態度を取られると、看護の仕事にやりがいを見出せなくなってしまう原因に。

また、毎日接する患者さんからのセクハラや患者さんの家族からのクレームなども度重なればストレスが溜まり、辞めたい理由になるでしょう。

医療従事者に対する患者やその家族の暴言や暴力である「ペイシェントハラスメント」は、ここ数年で増加し深刻化しています。

思い描いていた看護師の仕事ができない、理想とのギャップが理由にも

実際看護師になってみたら、看護学生時代に思い描いていた看護師の仕事と違ったと思う人は少なくありません。

ドラマのように白衣の天使像とはいかないまでも、「ここまで業務に追われると患者さんと話もできない」「仕事が流れ作業で思ってたんと違う」と、思い描いていた看護師像とのギャップに気持ちが萎えてしまうことも。

例えば、優しく穏やかに患者さんに寄り添いたいと思っていても、実際は時間と業務に追われて自分自身に余裕がなくなり患者さんへの態度に出てしまう・・・など、理想の看護師として勤務に当たりたいのに、できない自分がもどかしくなり毎日が辛くなってしまうのです。

また、看護方針は自分一人で決められるものではないため、病院のやり方や先輩看護師に従うことになり、自分の理想とする看護とのギャップを感じることもあるでしょう。

特に新人看護師は、初職場や人間関係の構築など初めてだらけの社会に身を置き、理想と現実とのギャップに心身ともに疲弊してしまうため、辞めたい理由の上位となっています。

評価や人事考課制度への不満から辞めたくなることもある

職場の評価制度や人事考課制度に対する不満から退職・転職をするケースも珍しくありません。

人事考課(制度)
組織上の配置、昇給・賞与額の決定などのために、職員の日常の勤務や実績を通じて、その能力や仕事ぶりについて評価するもの。人事考課の結果は、給与・賞与、昇格・昇進、能力開発、配置・異動等の諸決定に活用される。評価要素・項目には、たとえば成績効果(仕事の質・量、達成度、貢献度など)、能力効果(知識・技能、判断力、企画力、管理指導力など)、取組姿勢効果(規律性、責任性、協調性、積極性など)がある。

引用元:日本看護協会

人事考課制度を導入している病院は多く、2014年に株式会社産労総合研究所が病院を対象に行った「病院における人事考課制度導入に関する実態調査」によると、導入している病院は76.1%にも上ります。

さらに、人事考課制度と賃金制度が連動している病院は75.8%です。

このように、人事考課制度の評価結果は賞与や昇格に関わるので収入面に大きく影響します。

正当な評価が得られれば良いですが、「どんなにスキルを磨いても評価に反映されない」「評価基準があいまいで今後どのように仕事を頑張っていけばいいかわからない」という状態では、仕事へのモチベーションも低下してしまうでしょう。

そうは言っても、職場の評価制度は看護師ひとりの力で変えることはできません。

その場合、正当に評価してくれる病院、評価内容が明確な職場へ転職したくなるのも当然の流れと言えるでしょう。

教育体制への不満や不安が理由で退職を考える若手看護師もいる

若手看護師に多いのが、職場の教育・サポート体制や研修制度が手薄なことを理由に退職を考えるケースです。

多くの病院・施設では、新卒採用者に対しては手厚い教育体制や十分な研修期間を設けています。

一方で、中途採用の看護師へのサポートとなると、研修や教育がほとんどなかったりとにかくすぐに現場に出させたりとサポートが不十分な職場は少なくありません。

「即戦力として活躍してほしい」「人手不足ですぐにでも働いて欲しい」という病院側の考えがあったとしても、日常的な看護業務に関してはその職場のやり方というものもあり、入職後すぐに他の看護師と同じように看護業務をこなすのは困難でしょう。

また、研修制度やサポート体制が整っていない職場では、看護師がスキル・キャリアアップをするチャンスも少なく、自己成長を感じる機会も少なくなってしまいます。

「看護師として成長していきたい」と前向きに考える若手看護師であれば、将来のキャリアプランを見据えてスキルやキャリアの向上ができる職場へ転職したいと考えても仕方ありません。

看護師の経験を通じて見つけた新たな目標のために退職するケースも

看護師に限ったことではありませんが、「他にやりたい仕事が見つかったから」という理由で退職・転職をする人は多いです。

看護師の場合は、看護師を経験したからこそ、以下のように新たな目標を見つける人もいます。

  • 「看護師として現場で働くのではなく今後は看護師の育成に携わりたい」
  • 「看護師の経験やスキルを活かして介護の現場で働きたい」
  • 「キャリアアップのために保健師や助産師を目指したい」

やりたいことが明確になっているのに、その目標に向けて行動できないというのは精神的に大きな負担になります。

また、そんな状態では日々の看護業務に対するモチベーションも低下してしまうでしょう。

新たな目標のための退職は、非常に前向きな退職理由です。

未経験分野への挑戦など、転職市場では年齢を重ねると不利になってしまうケースも多いので、他にやりたい仕事があって看護師のままではそれが実現できないのであれば、早めに行動に移すことをおすすめします。

経験年数によって異なる看護師を辞めたい理由

看護師を辞めたいと思う理由は、看護師の経験年数によっても異なる場合があります。

1年目の新人看護師の辞めたい理由

入職して1年目の新人看護師は、慣れない初めての環境で覚えることも多く最もつらく苦しい時期です。

自分のミスや現実と理想とのギャップに悩むことが、辞めたい理由につながるでしょう。

厚生労働省の「新人看護職員研修の現状について」によると、新卒看護職員の職場定着を困難にしている要因として、以下の理由があげられています。

  • 基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい
  • 現代の若者の精神的な未熟さや弱さ
  • 看護職員に従来より高い能力が求められるようになってきている
  • 個々の看護職員を「認める」「ほめる」ことが少ない職場風土
  • 現場の看護職員が新卒看護職員に教える時間がなくなってきている
  • 交代制など不規則な勤務形態による労働負担が大きい
  • 新卒看護職員を計画的に育成する体制が整っていない

社会人として初めて経験する看護の現場での厳しさに戸惑いや悩みに揺れ動く時期でもあり、先輩看護師との折り合いの悪さや失敗して周りに迷惑をかけることが続くと、自分には看護師の仕事が向いていないのではないかと考えてしまいがちなのです。

新人看護師は「自分には向いていなかった」と思い込み、別の仕事に転職するケースが少なくありません。
しかし一度離職した新人看護師は、職場を変えて再挑戦するケースもあります。

2年目の看護師の辞めたい理由

新人看護師の1年間を乗り越えた2年目の看護師は、看護師としての最低限の知識やスキルが備わっていると評価されますが、まだまだ新人看護師と同等に扱われることが多い時期です。

奨学金制度がある場合、「奨学金のお礼奉公が済むまでは」と耐える看護師が多い時期と言えます。

プリセプターが外れて看護師として自立が求められる2年目は、仕事に対する責任の重さや医療事故への不安などから精神的に追い詰められることも。

また、がむしゃらに過ごしてきた1年目とは違い、不規則な勤務や思うように休みが取れない不満が募る時期でもあります。

1年目からの不安を引きずり「やはり自分は看護師に向いていない」と離職を決意する看護師が多いのですね。

3年目の看護師の辞めたい理由

3年目の看護師は新人扱いの時期を過ぎ、それなりの知識やスキルが身についているため、即戦力として扱われることが多くなる時期です。

より責任感が求められることが多くなり、難しい患者を任されることや医療事故への不安などから看護師としての自信を失くしてしまう時期でもあります。

奨学金制度がある場合、看護師3年目はお礼奉公が終了する年になるため、一気に転職希望者が増える時期です。

また、1年目2年目は看護師として働くことで精いっぱいだったのに対し、3年目は仕事に余裕が出てくる看護師もいます。

そのような看護師の場合は、他職場で働く看護師の情報を耳にすることが多くなり、現職への不満が募ったり他職場への憧れを抱いたりすることが離職のきっかけになることも。

それなりの経験値を持った3年目の看護師は、「自分にはもっとよい環境の職場があるかも」と、外に気持ちが向く時期。
多くの選択肢があるという可能性が開け、離職の後押しの要因となるのでしょう。

4年~5年目の看護師の辞めたいい理由

4年~5年目の看護師は、一人前の看護師として扱われ、さらに責任ある仕事を任される時期です。

通常の業務に加え、プリセプター業務やチームリーダー業務などが加わりフォローや指導する側に回り、負担も増えてくるでしょう。

夜勤がある職場の場合は夜勤の回数も増え、忙しく働く中堅看護師となります。

3年目の看護師の離職が多い職場の場合、4年目の看護師への期待度は高くなり離職しにくくなる傾向も。

3年以上の看護師経験を持つ4年~5年目の看護師は、スキルや知識、専門性も身に着けており、即戦力として大いに評価される転職に最適な時期であるため、現職よりも待遇のよい職場への転職を考える看護師が多くなるのです。

採用率が高い4年~5年目の看護師は、現職よりも待遇のよい条件の職場があれば離職したくなるはずですね。

6年以上の看護師の辞めたい理由

看護師6年以上の経験があると、主任やリーダーとして責任ある上に立つ役割が多くなる時期でベテラン看護師として扱われます。

看護師経験6年以上の場合、通常の求人に加えて管理職の求人も増え、転職の選択肢が広がる時期とも言えます。

負担や業務量が増えると同時に結婚や出産・育児が重なることが、離職理由につながる看護師が多くなってきます。

多職種や他職場への興味が出てくるものの、新しい職場への不安からなかなか踏み出せない時期でもありますが、ライフスタイルに変化がある時期でもあるため将来的に働き方を見つめ直すタイミングとして一旦離職するケースが多いです。

また、結婚前に基盤を作りたい思いから、新しい職場へと転職したいと考える場合も。

看護師として十分な経験を積んでいることから未経験の分野にも挑戦できることが離職する理由になる看護師も多いでしょう。

転職先によっては経験が長ければ長い分扱いにくいという評価のところもありますが、6年以上の経験があれば看護師として引く手数多であるため選択肢が多く、キャリアプランを見直す時期とも言えます。

看護師を辞めたいけど辞められない!その理由と対処法を紹介

「看護師を辞めたい」「今の職場を退職したい」と思っていても、さまざまな事情から辞められないでいる方も多いと思います。

そこでここでは、看護師を辞めたいけど辞められない理由別に対処法を紹介します。

理由1.奨学金のお礼奉公中で辞められない

奨学金制度を利用して看護学校を卒業した方のなかには、「仕事を辞めたいけれどお礼奉公中だから辞められないのでは?」「お礼奉公中の途中で辞めた場合、残りの支払いはどうしたらいいの?」と悩む方もいるでしょう。

お礼奉公中でも退職はできる

結論から言うと、お礼奉公の途中でも看護師が仕事を辞めることは可能です。

「日本国憲法」第22条では、すべての国民が職業を自分で決定する権利があるとしています。

また、「民法」第627条では、自由に退職の申し出ができることと2週間後に辞めることができることを示しており、628条を見ると、有期雇用であってもやむを得ない理由があれば契約期間中でも退職できるとあります。

さらに「労働基準法」第137条においても、雇用から1年以上勤務している場合、雇用主に退職を申し出れば仕事を辞めることが可能と書かれています。

つまり、退職の意思を示した看護師に対して雇用主である病院はその申し出を断ることはできないということです。

たとえそれが奨学金の返還という事情があってもそれを理由に引き止めを行うことはできません。

「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」

引用元: e-Gov法令検索「日本国憲法」第22条

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」

引用元: e-Gov法令検索「民法」第627条

「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」

引用元: e-Gov法令検索「民法」第628条

「機関の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。」

引用元: e-Gov法令検索「労働基準法」第137条

しかし、退職がいくら法律で認められた権利であっても、奨学金は「一定期間勤務する」という約束をしたうえで受けられた金銭的サポートのはずです。

場合によってはトラブルに発展するケースもあるので、安易に退職を決めることは避けて、慎重に決断するようにしてください。

奨学金の返済を求められる可能性がある

お礼奉公の途中でも退職はできますが、奨学金の返済を求められる可能性があることは理解しておきましょう。

たしかに、看護師が退職を申し出た際に、「違約金」や「賠償金」として病院側が請求することは労働基準法の第16条で禁止されています。

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」

引用元: e-Gov法令検索「労働基準法」第16条

このようなことから、病院側が看護師に対して奨学金の返済を求めることに関してはさまざまな議論がなされています。

しかし、奨学金を返済しなくて良いということではありません。

実際には「勤務期間分を考慮したうえで、残ったお礼奉公期間分の奨学金の返済を求める」という対応を取っている病院が多数存在しています。

以下に、3年間のお礼奉公で180万円の奨学金が免除となる病院を退職したい場合の勤務期間ごとの返済額の事例を紹介するので参考にしてください。

【返済額の事例】

勤務期間 返済額
1年以上2年未満 全額の3分の1程度(120万円程度)
2年以上3年未満 全額の3分の2程度(60万円程度)

ここで紹介した金額はあくまでも事例です。病院によっては独自の減額率を設定しているところもあり、場合によっては働いた期間を考慮せずに、奨学金全額の返済を求められることもあります。

「返済が必要か」「実際にはいくらの返済が必要になるか」ということは病院によって異なるので、正確な情報を得たい場合は奨学金を契約した際の書類で確認してください。

奨学金の一括返済が難しい場合の対処法

退職を申し出た新人看護師のなかには、「奨学金の一括返済を求められたけど一度に返すことができない」と悩む方もいるでしょう。

その場合の対処法を以下に紹介します。

【一括返済ができない場合の対処法】

  • 分割返済にしてもらえないか職場に相談する
  • 一時的に家族からお金を借りられないか相談する
  • 同じ自治体で奨学金を引き継げる転職先を探す
  • 「奨学金立替制度」を用意している転職先を探す
  • 契約期間終了まで働く

一括返済が難しいのであれば、職場に対して分割で返済させてもらえないか相談してみましょう。事情を話せば分割返済を認めてくれるかもしれません。

一括返済から分割返済への変更が難しい場合は、家族に相談してみるのもひとつの方法です。

消費者金融での借金は高い金利がついてしまいます。「家族に頼むなんて…」と気が引けるかもしれませんが、家族に一時的にお金を借りて転職後に返していけば、高い金利に苦しむリスクを負わずに済むでしょう。

利用しているのが都道府県や市町村の奨学金制度なら、自治体が指定する病院へ転職して残りのお礼奉公期間分働くことで、奨学金の支払いを免除してもらえる可能性があります。

奨学金制度の規則によって免除が可能かどうかは異なるので、まずは確認してみてはいかがでしょうか。

また、看護師の代わりに奨学金を返済する「奨学金立替制度」の用意がある病院もあります。

転職先の病院が返済を肩代わりしてくれれば、自分で奨学金の支払いをせずに退職ができます。

しかし、そもそも「奨学金立替制度」のある病院は少なく、たとえ過去に実績があっても求人情報に記載していることはほとんどありません。自力で返済を肩代わりしてくれる職場を探すのは非常に難しいのが現状です。

どうしても探したい場合は、看護師に特化した転職エージェントを利用しましょう。立替制度がない病院でも、転職のプロであるキャリアアドバイザーの交渉次第では対応してもらえる可能性があります。

「すぐに返せる見込みがない」「どうしても一括返済できない」という状況なら、お礼奉公中は辞めずに働くという選択も必要になってきます。

新人看護師は業務経験が少ないので壁にぶつかることも多いでしょう。そんなときには「上司に相談してみる」「仕事への向き合い方を変えてみる」といった対策をとれば、「辞めたい」という気持ちが変化するかもしれません。

「転職は契約期間を終えてから」と割り切って当分は情報収集やスキルアップに努めれば、転職先の選択肢もぐっと広がるでしょう。

理由2.職場が退職させてくれない

退職を申し出ているのになかなか受け入れてもらえないと悩む看護師の方もいるでしょう。

病院の都合で看護師の引き止めはできない

「職場が人手不足だから」「師長の評価が下がってしまうから」などと、職場の状況や上司の都合で退職の申し出を受けてもらえないというケースもあります。

しかし、前述の通り、「民法」の第627条によって退職を申し出れば2週間後には仕事を辞めることができると定められています。

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」

引用元: e-Gov法令検索「民法」第627条

つまり、病院の都合を理由に退職する看護師を引き止めることはできないのです。

職場が退職させてくれないときの対処法

退職の申し出を職場に受け入れてもらえないときの対処法としては、以下のような方法があります。

【対処法】

  • 看護部長や人事部に相談する
  • 転職エージェントに相談する
  • 退職届を「内容証明郵便」で送付する
  • 退職代行サービスを利用する

直属の上司に退職を申し出ても流されてしまう場合は、さらに上の立場の看護部長や人事部へ相談してみてください。

看護部長や人事部が了承すれば、直属の上司も納得せざるを得ないでしょう。

また、看護師に特化した転職エージェントを利用すれば、転職支援のプロから無料で退職のためのアドバイスがもらえます。経験豊富なキャリアアドバイザーからのアドバイスがあれば、問題解決のヒントも見つかるはずです。

加えて、求人の紹介もしてもらえるので、効率良く転職活動が進められます。

それでも退職させてくれない場合には、退職届を「内容証明郵便」で送付しましょう。

一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

引用元:日本郵便株式会社

内容証明郵便での送付は強い退職意思を示すことにもなります。退職届を受理しないことは法律違反になるため、人事部に送付すればそのまま退職手続きに入れる可能性が高いでしょう。

退職者本人に代わって代行業者が退職を進めてくれる、「退職代行サービス」を利用するのもひとつの方法です。

費用はかかってしまいますが、病院側と直接交渉せずに済みますし、代行業者は支払い後、すぐに退職意思を病院側に伝えてくれるので、退職手続きがスピーディーに完了します。

引き止めに遭わないためのコツ

紹介したように、強い引き留めに遭ってしまうと円満退職どころかスムーズな退職ができません。

そもそも引き留めに遭わないようにするには、以下のようにコツを押さえて退職の申し出を行うことが大切です。

【引き留めに遭わないためのコツ】

  • 繁忙期を避けて退職する
  • 病院側が引き止めにくい退職理由を伝える

看護師の仕事は常に忙しいですが、繁忙期を避けて交渉すれば「人手不足」を理由に断られずに済むかもしれません。

退職時期としてのおすすめは、入職や退職、異動などで人が動きやすい「年度末」です。

次年度を見据えて人員調整を行う時期に合わせて退職すれば、病院側も欠員が出ることを前提に体制が整えられるので、職場への影響も最小限に止めることができるでしょう。

また、「すでに転職先が決まっている」「引っ越しをすることになった」「育児(介護)をしなければならない」など、病院側が退職を納得するような理由を明示することも重要です。やむを得ない事情があれば、退職も受け入れてもらえるでしょう。

そうは言っても虚偽の理由を伝えるのは禁物です。

嘘がばれてしまった場合、トラブルに発展する恐れがあります。

理由3家族が転職を賛成してくれない

家族の反対によって退職・転職ができずにいる方もいます。

たしかに、退職・転職には生活面や収入面における変化が大きく、場合によってはリスクもあるでしょう。将来への懸念や生活が変わることへの不安から転職を反対する家族の気持ちも理解できます。

しかし、今の職場を辞めるかどうか、看護師の職を手放すかどうかは最終的に自分自身で決断することです。

自分が絶対にやり遂げたいこと、転職で実現したいキャリアプランなどがあるなら、まずはその意思を家族にしっかりと伝えましょう。

一方で、家族の反対を受けて転職を諦められるようなら、今は転職すべきタイミングではないのかもしれません。

いずれにしても、まずは転職に向けての自分自身の考えをはっきりさせたほうが良いでしょう。

転職したい気持ちが固まっているのであれば、以下のように「転職先に求める条件」「転職するメリット・デメリット」なども合わせて伝えておきましょう。

  • 「現職より年収が下がるような転職はしない」
  • 「夜勤のないクリニックに転職すれば子供と過ごす時間が増える」
  • 「管理職を視野に入れた転職ができれば年収・キャリアアップができる」
  • 「今よりも通勤しやすい近場の病院で働けばもっと早く帰宅できる」

転職のデメリットやリスクばかりが気になって反対している家族もいます。

その場合、「転職によってどんな変化が起こるか」「家族にとって転職がもたらすメリットはどのようなことか」ということをきちんと伝えましょう。

転職後の生活が見えない状態では反対するのも当然ですが、具体的に転職後の変化をイメージできるようになれば、転職について理解や協力が得られるかもしれません。

看護師を辞めたくなったときの対処法!退職前にできることとは?

辞めたいとは思うものの、「本当に辞めていいのかな?」と迷って行動できずにいる方もいると思います。判断に迷ったら一度立ち止まり、看護師から転職することも視野に入れて、その時できることを考えてみましょう。
 
ここでは、看護師を辞めたいと思った際に試してみてほしい対処法を紹介します。

「看護師を辞めたい」と感じたら、一旦仕事を休んでみる

もっとも手軽な対処法は、休みを取ることです。有給休暇が残っているなら取得をして、一旦仕事から離れてみてください。
 
「仕事が辛い」「看護師を辞めたい」と毎日思いながら我慢して働き続けても、気持ちは落ち込む一方で、精神的にもどんどん追い詰められてしまいます。
 
しっかり休息を取って気持ちをリセットすることで、仕事への向き合い方や転職について冷静に考えられるようになるはずです。
 
以下に、おすすめのリフレッシュ方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  • 湯船にゆっくり浸かって全身を温める
  • 散歩やジョギングなど軽く身体を動かす
  • たっぷり眠る・良質な睡眠を心がける
  • 食生活を見直す
  • 趣味に没頭する

まずは心に余裕を持たせて、それでも本当に辞めたいのか考えるとまた別の考えが生まれるかもしれません。

信頼できる人に話を聞いてもらうのも、対処法のひとつ

ひとりで悩んでいても解決しないなら、信頼できる人に相談してみましょう。
 
仲の良い同僚や先輩に悩みを打ち明けてみると、自分とは違った視点からアドバイスがもらえるかもしれません。
 
看護師1年目や2年目の新人看護師で先輩に聞きづらい場合は、同じ職場で働いている同期に相談するのもおすすめです。

悩み事や心配事は、誰かに話を聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になるものです。また、人に話して気持ちを整理することで、「もう少し頑張ってみよう」と前向きな気持ちが取り戻せることもあります。

ストレスを溜めこむと心身の不調にもつながってしまうので、時には人に頼りながら問題解決の糸口を探っていきましょう。
 
ただし同じ職場の人に相談する場合、「退職」「転職」について具体的に話すことは避けたほうが無難です。
 
「転職するらしい」などと噂話が広がってしまうと、働き続けるのが気まずくなったり「どうせ辞める人だから」と冷たい扱いを受ける可能性があります。

看護師を辞めたいほど悩むなら、異動を申し出るという手もある

規模の大きい病院に勤務していて、「病院を辞めたくはないけれど、今の環境から離れたい」という場合は、異動を申し出るのもひとつの方法です。
 
病棟が変わると関わるスタッフや患者さん、業務内容がガラリと変わります。病院を辞めなくても環境を変えることができるので、今ある悩みが解決する可能性もあるのです。

申し出ても必ず異動できるとは限らなかったり、異動時期まで待たなければならなかったりと、理解しておくべき注意点はありますが、無事に異動の希望が叶えば転職のリスクを負うことなく、気分一新、働くことができるでしょう。

看護師を辞める前に仕事への向き合い方を変えてみる

辞めたいと思う理由によっては、仕事への向き合い方や考え方を変えてみることで問題が解決するケースがあります。

  • 「忙しい」→「仕事に慣れたら余裕が持てるはず」
  • 「苦手なスタッフがいる」→「余計なことを考えず業務に集中しよう」
  • 「医学の知識がない」→「勉強する時間を作ってみよう」
  • 「ミスをするから看護師に向いていない」→「ミスをしないための準備や勉強をしよう」
また、看護師になった時や患者さんからお礼を言われた時など、ポジティブな出来事や気持ちを思い返してみると、辞めたいという気持ちも和らぐでしょう。初心を思い出すことで、仕事のモチベーションをもう一度上げられるかもしれません。

「仕事は仕事」と割り切って考える

仕事に対して真摯に向き合う姿勢は素晴らしいですが、それで辛くなるようなら考え方を少し変えてみても良いかもしれません。

例えば、職場の人間関係が辛くて辞めたいと感じている場合です。

職場の人間関係は自分では選べないので、合わない人とも協力して看護業務を進めていかなくてはなりません。

しかし、業務に支障がないなら個人的に親しくなる必要はないでしょう。

仕事を進めるうえで必要なコミュニケーションさえ取れていれば十分です。

もちろん、同じ職場で働くスタッフと良好な関係が築ければそれに越したことはありませんが、本来の看護師の仕事は患者さんに寄り添うことです。

考えを割り切って目の前の業務に集中しているうちに、状況が改善する可能性もあるでしょう。

ストレスの対象となっていることに過剰に反応し続けるより、「仕事は仕事」と割り切ったほうが精神的な負担が少なくなるかもしれません。

看護師を志した理由を思い出す

看護師の仕事が辛くて辞めたいと感じたときには、「どうして看護師になろうと思ったのか」「どんな看護師になりたかったのか」ということについて考えてみるのもひとつの方法です。

「患者さんの心に寄り添いたい」「社会や人の役に立ちたい」など、看護師を志した理由を思い返すと、気持ちに新鮮さが取り戻せます。

今の仕事に対しても新たな気持ちになれたり、自分が目指したい看護師像を思い出したりと、仕事への考え方も変わるはずです。

一度初心にかえることで、仕事に対しても「もう一度頑張ってみよう」と前向きさが取り戻せるかもしれません。

看護師を辞めたい気持ちが強いなら転職に向けて行動してみる

どうしても状況の改善が見込めない場合は、転職に向けた行動を開始しましょう。
 
転職するとなると生活が一変するのでリスクはありますが、自分に合った病院が見つかる、キャリアアップのチャンスが掴めるなど、転職で理想の職場や働き方が叶う可能性もあります。

看護師として働ける職場は、病院やクリニックだけでなく、一般企業、デイサービスなどの介護施設、検診センターなどさまざまです。

看護師が必要とされている場所は数多くあるので、「今の職場を辞めたいけど、看護師として働きたい」という方は、病院以外の職場にも目を向けて検討してみてはいかがでしょうか。
 
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看護師の離職率は高い?転職前に知っておくべき看護師の離職の現状

看護師の仕事はハードワークで人の健康や命に関わる責任もあるので、離職率が高いイメージを持っている方もいるでしょう。

では、実際のところ看護師は他の職種に比べて離職率の高い仕事なのでしょうか。

ここでは、看護師の離職についていくつかのデータを紹介しながら現状について見ていきます。退職や転職を考えている看護師の方はぜひ参考にしてください。

看護職員の離職率は他職種に比べて特別に高いわけではない

まずは、看護師を含む看護職員の離職率の現状を見ていきましょう。

以下は、2020・2021年の病院看護職員の離職率です。

※「看護職員」…看護師・保健師・助産師・准看護師

【看護職員の離職率】

2020年 2021年
既卒 14.9% 16.8%
正規雇用 10.6% 11.6%
新卒 8.2% 10.3%

日本看護協会の「2022年病院看護実態調査」の結果では、正規雇用されている看護職員の離職率は11.6%でした。

対して、既卒採用者の離職率は16.8%、新卒採用者の離職率は10.3%となっています。

このことから、新卒で看護職員になった人の離職率は低めの傾向にあること、また、新卒採用者よりも過去に看護職に就いていた人の離職率のほうが高い水準となっていることが分かります。

一方で、全職種の離職率はというと、2019~2022年にかけて以下のように推移しています。

【全職種の離職率】

離職率
2019年 14.6%
2020年 14.2%
2021年 13.9%
2022年 15.0%

2019~2021年までの看護職員の離職率と全職種の離職率を比較すると、既卒採用者の場合、全職種の離職率よりも高い割合となっていますが、正規雇用と新卒の採用者においては、全職種の離職率に比べて低い割合となっています。

「看護業界=離職率が高い」というイメージがある人もいるかもしれませんが、これらのデータから、看護業界で働く人の離職率が他職種に比べて特別に高いわけではないと言えるでしょう。

辞めたいと思いながら働いている看護職員は多い

看護師を含む看護職員の離職率が平均的であることが分かりましたが、仕事を辞めたいと思いながら働いている看護職員は決して少なくありません。

日本医療労働組合連合会による「2022年看護職員の労働実態調査『報告集』」では、看護職員のおよそ8割が仕事を辞めたいと思いながら働いていることが分かっています。

仕事を辞めたいと「いつも思う」 24.0%
仕事を辞めたいと「ときどき思う」 55.2%
辞めたいと「思わない」 16.6%
わからない 4.2%

さらに、仕事を辞めたいと「いつも思う」と回答した人の勤務形態を見てみましょう。

日勤のみ 17.4%
3交替 25.9%
2交替(夜勤16時間以上) 27.3%
2交替(夜勤は12時間以上16時間未満) 26.3%
夜勤専門 26.0%
日勤と当直 23.3%
日勤と準夜 20.1%
日勤と待機 19.4%
その他 24.6%

特に多い割合となっているのが、「2交替(夜勤16時間以上)」「2交替(夜勤は12時間以上16時間未満)」「夜勤専門」という夜勤のある勤務形態です。

「日勤のみ」が17.4%と低めの割合となっていることからも、病棟での夜勤は離職に大きく影響していると考えられるでしょう。

判断に迷ったら?今の仕事や看護師を辞めたほうがいいケースもある

辞めたくなったときの対処法を紹介しましたが、なるべく早く今の職場や看護職から離れたほうが良いケースもなかにはあります。3つのケースを紹介するので、自身に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

身体や精神に不調があるなら早めの転職が吉

過労やストレスが原因で、すでに身体的・精神的に不調をきたしている場合は、退職や転職を視野に入れた早めの行動が必要です。
 
「我慢すれば大丈夫」などと無理をして働き続けた結果、身体を壊してしまったり精神を病んでしまったりしては、仕事どころか日常生活にも支障をきたす恐れがあります。

交代勤務の不規則な生活で一度体調を崩してしまった人でも、夜勤の無い職場に転職すれば、体に負担をかけずに看護師の仕事が続けられるかもしれません。

以下に、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターが示している「こころの病気の初期サイン」を紹介するので、当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。

  • 気分が沈む、憂うつ
  • 何をするのにも元気が出ない
  • イライラする、怒りっぽい
  • 理由もないのに、不安な気持ちになる
  • 気持ちが落ち着かない
  • 胸がどきどきする、息苦しい
  • 何度も確かめないと気がすまない
  • 周りに誰もいないのに、人の声が聞こえてくる
  • 誰かが自分の悪口を言っている
  • 何も食べたくない、食事がおいしくない
  • なかなか寝つけない、熟睡できない
  • 夜中に何度も目が覚める

労働環境が悪い場合も早めに退職・転職を検討する

残業代が支払われない、休憩なしで長時間労働をさせられるなど、労働基準法に反するようないわゆるブラック企業である場合は、その地域の労働局相談窓口や社労士、労働組合(医労連など)に相談してみましょう。

労働環境が劣悪な状態が慢性化してしまっている職場では、労働者の声に耳を傾けてくれる役員や上司も少なく、看護師個人の努力で問題を解決するということは非常に難しいと言えます。

法令違反がある場合、すぐに退職してしまうといわゆる「泣き寝入り」の状況になってしまうことがあります。基本的にはしかるべき窓口へ相談するのがおすすめです。
 
ただ身体的・精神的に疲弊してしまう前に、そうした職場には早く見切りをつけて、正当な労働に対して対価をきちんと払ってくれる新しい職場を探し始めるのも一つの手です。

職場に相談できる人が誰もいないなら転職を検討してもいい

「上司も先輩も怖くて仕事の相談もしづらい」「今いる職場に仕事の悩みを打ち明けられる人がいない」という状態なら、転職を視野に入れてもいいでしょう。

上司が信頼できる人だったり先輩看護師が親身だったりと、看護師として働くなかでの疑問、不安、悩みを相談できる相手が職場にいれば、苦労の多い看護業務も乗り越えやすいです。

働く環境が同じであれば、相談者側の状況や事情も理解してもらいやすいので、場合によっては具体的な解決策を提案してくれるでしょう。

しかし、職場に誰ひとりとして相談相手がいないとなると、自分だけで問題に向き合わなくてはならず精神的な辛さは増してしまいます。

家族や友人に話をして気が晴れてもそれは一時的なもので、根本的な解決にはつながりにくいでしょう。

「看護師の仕事に不満はないが、今の職場にいるのは辛い」という場合は、転職先を見つけることをおすすめします。

ハラスメントやいじめが横行しているなら転職に向けて動いてみる

ハラスメントに関しては、男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法により、事業主には相談窓口設置の義務があります。またそれだけでなく、適切に対処することも求められています。

職場でいじめやハラスメントを受けているならまずは雇用主に訴え、それでも改善されないようなら社労士や労働局へ相談してみましょう。

しかし、パワハラを公表する、いじめをなくすなど行動を起こすとなると、精神的にも大きな負担がかかることになります。また、真っ向から立ち向かっても必ず解決するとは限らないのも事実です。

自分ひとりで解決できない問題であれば、「職場が合わなかっただけ」と割り切って、転職に向けて動いてみるのもありと言えます。

半年以上転職すべきか悩んでいる場合は即行動を

辞めたい、転職したいという気持ちが一時的なものではなく半年以上思い続けている場合、身体的・精神的に不調をきたす前に今の職場から離れる行動を起こしてみましょう。

半年以上辞めたい思いを抱えながら勤務していたにも関わらず、悩みの種が解消されていないということは、この先も悩みが解決される見込みはありません。

人間関係などで悩んでいる場合は異動などで解決できる可能性はありますが、職場の体制や待遇、方針など一人の力ではどうにもならないことは早くに見切りをつけた方が賢明です。

自分が辞めたいと思っている悩みを明確にし、半年以上思い悩んでいるのか遡って考えてみましょう。

勤務先が変わっても看護師という職業自体は辞めないほうがいいケース

紹介したように、看護師という職業そのものに対する不満や悩みから退職・転職という決断をしたほうがいいケースはあります。

一方で、せっかく取得した看護師資格ですから、よく考えずに「看護師という職業そのものを辞める」という決断をすると後悔してしまう可能性もあります。

自分自身の工夫や努力次第で悩みが解消しそうな場合、今は辛くても時間が経てば問題が解決しそうな場合などは、働く病院や施設を変えても看護師という職業そのものから離れる必要はないかもしれません。

ここでは、今いる職場を離れて勤務先を変えたとしても、看護師という職業自体は辞めないほうがいいケースについて紹介します。

適性がないという悩みは働き続けることで解消する可能性がある

看護師になって1年目や2年目の新人看護師が、「自分は看護師に向いていないから」という理由で看護師を辞めるのは決断するタイミングとしては早いかもしれません。

看護師に限らず、仕事が思うようにできなかったり職場でミスをしてしまったりすれば、誰でも辞めたいと思うものです。

特に看護師は患者さんの健康や命にかかわる医療業務を行っているので、プレッシャーも加わって仕事をする自信を失ってしまうこともあるでしょう。

責任のある仕事だからこそ、安全に看護業務を遂行することが最優先される医療の現場では、小さなミスも許されず、きつく叱責されることも少なくありません。

しかし、現場で実務経験を積んでいくうちに、仕事にも慣れていきできることが増えていくので、ミスや叱責も頻度が少なくなっていくはずです。

そうしているうちに、「看護師に向いていないのでは」という思いも自然と薄れていくでしょう。

自分自身の看護師の適性がないように感じたからといって、苦労して取得した看護師という職を手放してしまうのはもったいないです。

経験が浅ければできないことやわからないことがあるのは当然です。

今は未熟でも、看護師として働き続けていくうちにできることが増えていくので、新人のうちは「今は勉強するとき」と割り切って仕事を続けてみましょう。

退職の前にライフワークバランスに合わせた働き方を考えてみる

ライフステージが変わったからといって、すぐに「看護師を辞める」という選択をする必要はありません。

結婚、出産、子育て、転居などライフステージが変わるなかで、「今後も看護師として働いていけるのか」と不安に感じることもあるでしょう。

しかし、以下のように看護師の勤務形態や雇用形態はさまざまなので、自分に合った働き方ができる職場へ転職できれば、看護師そのものの職を手放さずに済みます。

勤務形態 ・常勤(2交替制)
・常勤(3交替制)
・夜勤なし可(日勤のみ可)
・夜勤専従
雇用形態 ・正社員
・契約社員
・パート
・アルバイト

ただし、注意すべき点は転職によって年収が下がってしまう可能性があるということです。

転職してから金銭面で困窮することのないよう、収入面や生活面においてどのような影響があるかを十分に考えたうえで退職・転職を決断しましょう。

「逃げたい」「楽になりたい」という思いだけで辞めるのは危険

「今の仕事の辛さから逃げたい」「看護業務から離れて楽になりたい」という理由から勢いで看護師を辞めてしまうのは危険です。

現職への不満から「逃げること」だけが目的となってしまっている状態では、他の病院に移ったり看護師から他職種に転職したりしても、また同じような不満を抱える可能性があります。

看護師を辞めて他の職業に就いたとしても、何かしら辛いことや苦労することはあるはずです。

問題に向き合ったり解決に向けて努力をしたりということをせずに、そのたびに「辞める」という選択をするようになってしまっては、いつまでたっても自己成長はできません。

また、逃げ癖がついてしまった場合、何度も転職をくり返す可能性が高くなり、キャリアプランの形成もできなくなってしまいます。

仕事で辛さや悩みを抱えたら、すぐに逃げるのではなくまずは自分自身としっかり向き合ってみましょう。

「何に対して不満を感じているか」「問題解決のために自分自身でできることはないか」ということを深掘りすれば解決策が見えてくるかもしれません。

最終的に退職・転職するとなった場合でも、熟考の末の決断であれば後悔せずに済むはずです。

転職前に理解しておくべき看護師を辞めることのデメリットとリスク

ここでは、看護師が転職する際に考えられるデメリットやリスクについて解説します。

転職後に後悔しないよう、転職活動の前にしっかり理解しておきましょう。

給与や年収が下がるリスクがある

看護師が転職するデメリットとしてあげられるのが、給与・年収が下がるリスクがあるということです。

看護師の給料は、「夜勤手当」「深夜手当」「残業手当」など手当の割合が多い傾向にあります。

そのため、以下のような転職を行った場合は、正規雇用で看護師として働いていたときよりも、給料や年収が下がる可能性高いでしょう。

  • 夜勤や時間外勤務のない医療機関や施設へ転職した場合
  • ライフスタイルに合わせてパート・アルバイト勤務に変えた場合
  • 看護師を辞めて未経験の職種・業界へチャレンジした場合

もちろん、給料の水準が高めの傾向にある大学病院への転職や管理職としての転職など、転職で収入アップを実現している方もいます。

「年収を下げたくない」「転職で収入アップしたい」という場合は、必要に応じて転職エージェントを利用するなどして、高給与が見込める求人情報をチェックするようにしましょう。

また、退職の申し出や転職するタイミングによっては、ボーナス(賞与)が受け取れないケースもあるので注意が必要です。

ボーナスのルールは勤務先によって異なり、基本的には就業規則の賞与規定に記載されています。

ボーナスを受け取ってから退職・転職をしたい場合は、今いる職場が定めている「支給時期」「ボーナスの支給額を決めるための算定期間」をあらかじめ確認しておきましょう。

やりがいが感じられなくなる場合がある

看護師の仕事は人の健康や命に関わるので、強いストレスやプレッシャーがあります。

責任の重さに耐えられず看護師を辞めた場合、辞めた直後は緊張感からも解放されて、新たな仕事にも新鮮な気持ちで取り組めるでしょう。

しかし、そうした日々に慣れた頃、看護師ではない仕事に対して物足りなさを感じてしまうかもしれません。

看護師は国家資格で高い専門性を有しています。医療現場のプロフェッショナルとして働くなかで、「社会に貢献している」「人の役に立っている」とやりがいを感じる場面は決して少なくないでしょう。

社会的な貢献度が高く専門性を備えている看護の仕事だからこそ得られていたやりがいや喜びは、新たな仕事・職場では感じられなくなる可能性があることは理解しておいたほうが良いかもしれません。

仕事のやり方や人間関係などを新たに構築する必要がある

看護師から他職種に転職した場合は、以下のように仕事や職場に関するあらゆることをゼロから構築しなくてはなりません。

  • 業務内容
  • 業務の進め方・手順
  • 職場での人間関係
  • 取引先や関係企業など社外の付き合い
  • 職場が採用しているシステムの操作方法

特に未経験分野の挑戦であれば、業界の情報収集をしたり業務に関するスキル・資格を身に付けたりと、新たに勉強し直す必要も出てくるでしょう。

また、転職すると人間関係も一新されるので、新たな人間関係を築き直さなくてはなりません。

中途採用では、新卒入社時のように同期が大勢いるということもないので、「同期がいない」ということにさびしさを感じる方もいます。

加えて、年齢を重ねてからの転職では、上司が自分よりも年下になるかもしれないことを理解しておく必要があります。

実際に、エン・ジャパン株式会社が運営する、ミドル世代向けの転職サイト「ミドルの転職」が35歳以上のユーザーを対象にアンケートを行った結果、40代以上の33%が「年下上司の経験がある」と回答しています。

社会では年齢ではなく役職や立場が重要視されるので、年下の上司に対しても偏見を持たず、真摯な気持ちで向き合うことが大切です。

また、看護師のまま新しい病院や施設へ転職する場合でも、新人としての自覚が求められることがあります。

業務の進め方などは職場によって異なり、独自のルールを設けているところも少なくありません。

転職してしばらくは周囲のスタッフに教えてもらわなければならない場面も多いので、新しい職場では新人看護師に戻ったつもりで、謙虚な気持ちで仕事に取り組むように心がけましょう。

たとえ看護経験が豊富であったとしても、以前の職場のやり方を引き合いに出したり意見したりするのは禁物です。

「新しい職場になじむ気がないのでは」と懸念を抱かれる可能性があり、場合によっては人間関係のトラブルに発展する恐れもあるので注意してください。

1年目・2年目で辞めていい?新人看護師を辞めたい場合の注意点

看護師になって1~2年で辞めてしまう方もいますが、新人看護師の退職・転職には注意すべき点もあります。

転職先の選択肢が狭まってしまう

新人看護師のうちに転職すると、応募できる求人の選択肢が少なくなってしまう可能性が高いです。

一般的に、看護師の中途採用で求められるのは即戦力となる人材です。

しかし、看護師になって1~2年では経験やスキルが少ないので、即戦力とは見てもらえないでしょう。

また、求人のなかには「臨床経験3年以上」といった応募条件を設定しているものも多いです。

臨床経験が3年以上あれば、採血・点滴などの処置やプリセプターなども経験していると考えられるので、クリニックや介護施設など転職先の選択肢も広がります。

その点、応募条件を満たせない新人看護師は、応募できる求人が限られてしまいます。

即戦力を必要としている職場やクリニック・介護施設などへは転職が難しくなる、応募可能な求人は病院が多くなってしまうなど、転職先の選択肢が狭まってしまうことについてはあらかじめ理解しておいたほうが良さそうです。

「すぐに辞めるのでは?」と懸念されてしまう

短期離職をしてしまった新人看護師の場合、採用担当者から「すぐ辞めてしまうのではないか」と思われる可能性があります。
 
「前職の勤務年数が短いせいで書類選考も通らない」ということも残念ながらよくある話です。

相手の懸念を払しょくして内定を獲得するには、採用担当者がポジティブな印象を抱くような自己アピールが必要です。

履歴書の自己PRや志望動機、面接時の回答内容などでは、前向きに働く意思があることがしっかりと伝わるような内容を心がけましょう。

前職の経験が活かせないケースが多い

病院やクリニックが変わると、業務の取り組み方や決まり事なども、最初からすべて覚え直さなくてはなりません。
 
「前の職場でやったことからあるから大丈夫」と思っても、独自のルールを設けている病院もなかにはあるので、必ずしも前職の経験を活かせるとは限らないのです。
 
転職をする際には、「新人看護師として一から頑張ろう」という積極的な姿勢や覚悟が必要になることは覚えておいたほうが良いでしょう。

奨学金の返済を求められる可能性がある

看護奨学金制度を利用している場合は、奨学金の返済を求められる可能性があるので注意してください。

看護奨学金とは、看護学生を対象に病院が一定額を貸してくれる制度のことです。
 
返済しない限り、退職できないわけではありませんが、提示された期間、その病院に勤務することで返済が免除となるというものなので、お礼奉仕中の退職となると、残りの返済額を請求される可能性があるのです。

奨学金の返済についての規約は病院によって異なるので、仕事を辞める前に必ず確認しておきましょう。

看護師を辞めたい!辞める際に使える退職理由6つ

「とりあえず早く辞めたい」「今すぐ辞めたい」という状況で、はっきりと退職理由を伝えられないもしくは伝えたくない場合もあるでしょう。

ここでは、引き止められにくくスムーズに辞められる退職理由を紹介します。

【理由1】親の介護や病気のために辞めたい

親の介護や病気の看病で辞めたいと伝えた場合、簡単に引き止めることはできないでしょう。

時短勤務や日勤のみをすすめられるかもしれませんが、はっきりと退職の意思を伝えれば問題ありません。

他人がなかなか踏み込める問題ではないので、根掘り葉掘り聞かれることはないはずです。

ただし、介護経験や看病経験がある上司や同僚は、親切心からいろいろとアドバイスをくれたり病状を尋ねてきたりするかもしれません。

話を合わせる自信がない人や心苦しさを感じる人は、ほかの退職理由を考えましょう。

普段から介護や看病に携わっている雰囲気を作っておくと、信ぴょう性のある退職理由になります。

【理由2】体調不良のため辞めたい

「体調不良で辞めたい」「持病が悪化したので辞めたい」という健康状態を保てないという退職理由は、引き止められにくいでしょう。

さらには医師の診断書があれば、すぐにでも辞めることができるはずです。

ただし、復職のための求職や勤務形態の改善を条件に引き止められる可能性があるため、強い意思表示をする必要があります。

慢性的な体調不良や無理に働くことで症状が悪化するなどを理由にすれば、無理強いして働かせることはパワハラに当たるため、うかつには引き止めることはできないはずです。

体調不良を退職理由にする場合は、就業規則に診断書の提出の規定があるかどうか確認しておきましょう。

【理由3】看護師以外のやりたいことがあるため辞めたい

看護師の仕事ではなく、看護師以外の仕事でやりたいことがあるから辞めたいという退職理由は、引き止められにくいでしょう。

その際、新しいことにチャレンジする熱意と強い退職意思を示すことが大切です。

やりたいことが医療関連となると看護師の仕事をしながらできるのではないかと引き止められる可能性があるため、看護師とはまったく関連のない「やりたいこと」を提示するとよいでしょう。

具体的な目標や夢、方向性が明確でポジティブな理由であるほど、引き止めにくくなるはずです。

将来のキャリアプランを明確にしておけば、引き止めに合っても具体的に回避できるでしょう。

【理由4】引っ越すために辞めたい

「旦那の転勤で引っ越すため」「実家が引っ越すため」など、自分の意図ではない引っ越しで通勤しづらいまたは通勤できない状況になってしまうことを退職理由にしてみましょう。

いろいろと詮索されても困らないように、自分のことではなく「夫」や「実家」のことだからわからないことが多い状態だと思わせることが大切です。

例えば、引っ越し時期は未定、どの地域に引っ越すか探し中など引っ越しに関してあいまいにしたまま、引っ越しの準備で早めに辞めたいと伝えましょう。

引っ越ししなければならない理由がやむを得ない事情であればあるだけ、引き止められないはずです。

本当に引っ越さない場合、自宅が知られていたり同じ地域でばったり出会ったりなどリスクが伴うことを忘れてはいけません。

【理由5】実家の家業を継ぐために辞めたい

「家業を継がなければならないので辞めたい」という理由は、引き止められにくい退職理由となるでしょう。

ただし、「今すぐ継がなければならないのか」「数ヶ月引き延ばすことはできないのか」と引き止められる可能性があるため、今すぐに継がなければならない理由を考えておかなければなりません。

日本はまだまだ家業は子供が継ぐものだという風潮があるため、実家が実際に家業を営んでいる場合は立派な退職理由となります。

実家が家業を営んでいない場合にはリスクを伴う可能性があるので、注意が必要です。

【理由6】結婚して家庭に入るため辞めたい

「結婚して家庭に入りたい」という理由は一昔前の女性の退職理由に思えますが、実際結婚を機に移住したり妊活に専念したりする人も多く、男性でも専業主夫になる時代なので問題ありません。

「結婚してからも続けてほしい」と勤務形態の変更を提案されて引き止められるかもしれませんが、退職の意思が固いことをしっかりとアピールすれば大丈夫。

看護師の仕事は忙しくプライベートな時間が取りにくい面もあるため、結婚後出産を機に一旦辞めてから育児が落ち着いてから復職する看護師も多く、結婚を理由に退職することも珍しくないと言えます。

家庭を優先したいというライフプランを確立した上で退職を申し出ているため、引き止められにくいはずです。

プライベートである他人の家庭の事情には介入しにくいものなので、固い意思表示をすれば引き止められることはないでしょう。

看護師の辞め方とは?一般的な退職手続きの進め方を解説

ここからは、「退職を決めた後はどう進めたらいい?」と不安な方に向けて、看護師を辞める際の手順を詳しく解説していきます。

看護師辞めたい!と決めたらまずは退職時期を決める

退職する意思が固まったら、まずは就業規則を確認しましょう。
 
正社員の場合、法的(民法)には退職の2週間前までに口頭や文書で伝えればよいことになっています。仮に規則で指定されている期日を過ぎても、雇用主は退職を受理しなければいけません。就業規則よりも民法が優先されるので、退職を引き留めることは法律上できないのです。
 
ただ期限内に退職を申し出ても、業務の引き継ぎやスタッフの補充などを理由に、「もう少し働いて欲しい」とお願いされてしまう可能性はあります。

法律上は退職日の引き延ばしに応じる必要はありませんが、円満退職を考えるならある程度は譲歩して退職日を決めるのがよいでしょう。

また同時に、ボーナスの査定期間と支給時期も、就業規則や労働条件通知書などで確認しておきましょう。これらにボーナス支給が明記されている場合は、雇用主は支払う義務があります。

上司に看護師辞めたい意思を伝えて退職に向けてスケジュールを組む

次に、師長や看護師長など直属の上司に退職の意思を伝え、退職日や有給休暇を消化する日など、退職に向けた具体的なスケジュールを決めていきます。
 
その際、「どうして辞めるの?」と理由を尋ねられることもあるでしょう。退職理由はさまざまな伝え方がありますが、円満に退職するためには以下のように注意すべき点もあります。

  • 退職理由はできるだけポジティブな表現で伝える
  • 不平不満や愚痴を言わない
  • 嘘をつかない

退職を申し出る際には、前向きな退職であることが感じられるような理由を考えておくと良いでしょう。
 
「もっと成長できる環境で頑張りたい」「〇〇科での経験を積んで、看護師としてのスキルアップを目指したい」というように、自分の中にある前向きな理由を伝えるのもひとつの方法です。
 
「どうせ辞めるから」と不満を打ち明けたくなるかもしれませんが、人員が減ることで職場に影響を与えてしまうのは事実です。

退職日まではお世話になる職場だということを忘れずに、気持ち良く退職日まで働けるように気をつけましょう。

 
また、嘘の退職理由を伝えることも避けたほうが無難です。もしも嘘がバレてしまった場合、トラブルに発展してスムーズに退職できなくなる可能性もあるので、退職理由はなるべく正直に伝えてください。

退職に向けて仕事の引き継ぎを行う

退職日が決定したら、その日までに確実に業務の引き継ぎを行います。
 
勤務年数が長い人や同じ業務を長期間受け持っていた場合は、その分、引き継がなければならない内容も多くなります。また、自分にとっては通常業務でも、後任者にとっては新しい業務のひとつである可能性もあります。
 
退職後も職場が機能を停止せずに円滑に業務に当たれるよう、スケジュールを立てる、必要に応じて資料を作成するなど、工夫しながら進めましょう。

お世話になったスタッフの方々へ退職の挨拶をする

退職日当日には、お世話になった方々へきちんと退職の挨拶を行いましょう。

ここでは、退職の挨拶をする際の注意点について、看護師長、看護部長(上司)、関係各所や同僚、ミーティングなどで当日出勤しているスタッフの前で行う挨拶の4つに分けてポイントを解説します。

相手・場面 退職の挨拶のポイント
看護師長への挨拶 ・勤務前に、最後の出勤日であることを一言伝えておく
・事前に退職の挨拶をするためのアポイントを取っておく
・自分の言葉で今後の成長や頑張りをアピールする
・病院や看護師長さんへの感謝の言葉を盛り込む
看護部長(上司)への挨拶 ・指導への感謝を伝える
・指導内容でもっとも印象的だったことを具体的に伝える
関係各所・同僚・同期への挨拶 ・忙しい相手の場合は、事前に予定を確認してから挨拶に行く
・親しい間柄でも最低限の礼儀をわきまえて感謝の気持ちを伝える
退職日当日にスタッフの前で行う挨拶 ・業務に支障が出ないよう、1分程度に簡潔にまとめる
・感謝と今後前向きに頑張っていく姿勢を伝える
・具体的な退職理由や今後のことについては触れない
・引き継ぎに関する連絡があれば挨拶に含めて伝える

円満に退職するためにも、最後の挨拶まで気を抜かずにしっかりと伝えましょう。

多忙な相手の場合は、事前に相手のスケジュールを確認する、アポを取っておくなど事前に準備をしておきます。

病院の規模や自分自身の立場、勤務年数などによっても挨拶するべき相手は異なるので、事前に挨拶のためのスケジュールを立てておきましょう。

看護師が転職を成功させるために知っておきたいポイント7つ

転職で失敗しないためにはやみくもに行動せず、コツを押さえて転職活動を進めていくことが大切です。

ここでは、転職成功率を高めるポイントを7つに分けて紹介します。

ポイント1.辞めたいのは看護師の仕事か今の職場かを明らかにする

退職や転職に向けて具体的な行動を取る前に、まずは辞めたいと感じる原因が看護師という職業にあるのか、それとも今の職場にあるのかを考えてみましょう。

看護師の業務に対して不満があるか振り返ってみる

「看護師を辞めたい」と思っていても、実際には看護師という職業ではなく、病院やクリニックなど今いる職場に対して不満を感じていることが多いです。

看護学校に通って国家試験を突破して病院と面接をして…と、いくつもの壁を乗り越えなければ看護師にはなれません。「辞めたい」という気持ちが限界に達すると余裕がなくなってしまいますが、苦労して看護師という職に就いたことを考えれば、他職種への転職は慎重に決断する必要があると言えるでしょう。

看護師の仕事内容は施設形態によっても異なりますが、普段の看護業務を振り返り、自分自身がどのように感じているか考えてみてください。

【看護師の仕事内容】

診察補助 ・注射・採血・点滴
・手術補助
・カルテ記載
・カンファレンス
入院患者や利用者のお世話 ・食事・排泄・入浴の介助
・体位変換
・患者の移送
・夜勤巡回

仕事内容を振り返って自分自身を見つめた結果、「仕事自体が合わない」「看護師の仕事以外にやりたい仕事がある」という答えに行きついた場合には他職種への転職を検討しても良いかもしれません。

職業自体がマッチしていなければ、心身への負担が大きい看護師の仕事を長く続けていくことは難しいでしょう。

今すぐの退職は避けたほうが良いケース

不満の原因が看護師の仕事ではなく今の職場にあると分かったとしても、すぐに退職に向けて行動するのは控えたほうが良いでしょう。

退職・転職するとなると収入面や生活面が変化します。絶対に希望通りの転職が実現するという保証もありません。

以下のような場合であれば、退職を急がずに少しの間は様子を見てはいかがでしょうか。

【今すぐに辞めるのは避けたほうが良いケース】

  • 看護師になったばかり
  • 向いていないと感じる

新人看護師は日々の業務をこなすのも必死でしょう。

特に看護師の仕事は心身ともにハードで責任も重大です。精一杯頑張るなか、知識不足を痛感したりミスをしてしまったりすれば、「もう辞めたい」と感情的になってしまうのも無理はありません。

しかし、働き続けることで自分自身の知識や経験が増えていきます。

自己成長を感じる機会や何らかのやりがいが感じられる出来事があれば、「辞めたい」という気持ちも薄れていく可能性があります。

「向いていない」と感じたり自信を失ってしまったりした場合も同様です。

先輩から厳しい指摘を受けたときや失敗したときは、「辞めたい」と思うのも無理はないでしょう。

しかし、こうした悩みは看護師に限らず誰でも抱えるものです。

「予習や復習をして同じ失敗をくり返さないようにする」「信頼できる人に相談する」など、少しでも状況を良くするために行動してみましょう。努力や工夫をしてスキルアップにつなげれば失敗も成長のチャンスになります。

今の職場を辞めたほうが良いケース

退職を急がないほうが良いケースを紹介しましたが、一方で、なるべく早い時期に今の職場を離れたほうが良いケースもあります。

【今の職場を辞めたほうが良いケース】

  • 職場の労働環境が劣悪
  • ストレスから心身に不調をきたしている

「長時間労働をさせられる」「残業代をきちんと支払ってもらえない」など、労働環境が劣悪な職場からは離れたほうが良いでしょう。

過酷な労働は心身への大きな負担となるので、病気につながる恐れがあります。

また、看護師ひとりの力で職場環境を改善するのは困難です。病気やトラブルが起きる前に、気持ちを切り替えて転職先を探すことをおすすめします。

今の職場に対するストレスから既に心身に不調をきたしてしまっている場合も、速やかに退職を決断したほうが良い状況と言えるでしょう。

我慢や無理を重ねると、「うつ病」「適応障害」「自律神経失調症」などの精神疾患を発症してしまうかもしれません。

うつ病
様々な心理的負荷などにより精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。治療としては、休養、薬物療法、精神療法を組み合わせます。

引用元:厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳

適応障害
環境変化によるストレスが個人の順応力を超えた時に生じる情緒面および行動面の不調です。うつ病など他の精神疾患の診断がつくには至っていない状態です。薬物療法も行われますが、環境調整、環境に慣れること、個人の順応力が増えることなどが状態の回復に重要です。

引用元:厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳

自律神経失調症
明らかな身体の病気がないにも関わらず、自律神経のバランスが崩れていると感じることによる不調を指します。全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸などがあります。

引用元:厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳

体調に異常を感じているならこれ以上の無理は禁物です。

心身の状態によっては医療機関を受診するなどしたうえで、退職や転職を視野に入れて行動しましょう。

ポイント2.転職の目的と転職先に求める条件を明確にする

転職の目的があいまいなままでは、自分にとって最適な転職先を見つけるのは困難です。

転職の目的が定まっていないとミスマッチが起こりやすい

「なんとなく」「とりあえず」で転職活動を始めると、いろいろな場面で迷いが生じてしまいます。求人票を比較検討する際の判断基準がなければ、応募先もスムーズに選べないでしょう。

また、転職の目的が定まっていないと転職後のミスマッチも起こりやすくなります。

せっかく転職してもやりたい仕事ができなかったり同じような不満を抱いてしまったりすれば、短期間で転職をくり返すことにもなりかねません。

転職の目的を洗い出す方法

以下に、転職の目的を明確にする方法を3つのステップに分けて紹介します。

【転職の目的を洗い出す方法】

  • 転職を考えたきっかけを深掘りする
  • 転職先に求める条件を明らかにする
  • 条件に優先順位をつける

まずは「辞めたい」と思った理由を深く掘り下げてみましょう。

不満の背景を明らかにすることで、「転職によって何を実現したいのか」ということが分かります。

次に、転職で求める条件を考えます。

「収入を上げたい」「スキルアップがしたい」「休みの取りやすい職場で働きたい」など、希望条件は人それぞれです。今いる職場に対する不満から逆算して考えると、転職先に求める条件も見えやすくなるでしょう。

その後、ピックアップした条件に優先順位をつけていきます。

条件をすべてクリアする完璧な求人に出会うのは難しいもの。「絶対に譲れない条件」を決めておけば、数多くの候補から自分にとっての最適な転職先を絞りやすくなるはずです。

ポイント3.キャリアの棚卸しをする

就職活動で「自己分析」を行った経験がある方は多いと思いますが、転職活動は合わせて「キャリアの棚卸し」も行いましょう。

キャリアの棚卸しを行うメリット

キャリアの棚卸しはこれまでの職歴を時系列に整理し、そのなかで携わってきた業務をすべて洗い出す作業です。

キャリアの棚卸しには以下のようなメリットがあり、転職活動に大いに役立つでしょう。

【キャリアの棚卸しを行うメリット】

  • 自分のスキルを活かせる仕事・職場かどうか見極めやすくなる
  • 応募書類や面接でアピールすべきことが分かる
  • 自分に合う職場が見つけやすくなる

キャリアの棚卸しによって、自分が持っているスキルが明らかになります。

看護師が働ける職場は多数ありますが、そのなかでも「自分のスキルが活かせる職場とはどんな場所か」ということが客観的に分かれば、転職先の候補を絞りやすくなるでしょう。

キャリアの棚卸しでは、「どんな成果をあげたか」「どんな姿勢で向き合ったか」ということも書き記していきます。自分自身の強みとそれを示せるエピソードを整理しておけば、選考の際にも説得力のある自己アピールができるはずです。

また、過去の出来事のなかに自分が大切に考えていた「仕事観」が見つかるかもしれません。

理想としている看護師像や働き方を把握しておくと、自分に合う職場も判断しやすくなるでしょう。

キャリアの棚卸しのやり方

以下に、キャリアの棚卸しのやり方を手順ごとに解説するので、ぜひ参考にしてください。

【キャリアの棚卸しのやり方】

手順 ポイント
【1】一日の業務と行動を時系列に書き出す 突発的な仕事もどんどん書き足しましょう。
【2】(1)で書き出したそれぞれの業務に心がけたことや実績を書き出す (1)を深く掘り下げます。「褒められたこと」なども実績として書き足しましょう。
【3】(1)~(2)を社会人になったときにさかのぼって書き出す ここでは過去にさかのぼって書き出していきます。「部署異動」「昇進」「転職」など変化のタイミングで分けましょう。
【4】(1)~(3)まで書き出した内容をエクセルなどで一覧表にまとめる 一覧表は縦軸を時系列として、横軸には「仕事内容」「スキル」「実績」「姿勢」「反省」などの項目を作りましょう。
【5】一覧表を見て自分の特徴や強みを書き出す 「強み」を探すときはどの時期でも一貫している姿勢や経験から学んだことに着目して探しましょう。

ポイント4.さまざまな方法で情報収集をする

看護師に限りませんが、転職を成功させるには徹底的な情報収集が欠かせません。

以下のように、できるだけ多くの情報源を持って病院や施設の情報収集を行いましょう。

  • 病院や施設のホームページを読み込む
  • 友人や知人に実際の雰囲気や評判を聞く
  • 口コミサイトで元職員や現職員の評判を確認する
  • 転職エージェントを利用する

公式ホームページには「看護理念」「現場の看護師の声」「採用情報」などが掲載されています。

病院や施設の特徴が分かれば、自分の看護観とマッチするかどうかも判断しやすくなるはずです。

友人・知人に内情を聞く、口コミサイトをチェックするという方法も情報収集のひとつです。情報を提供する人の主観が含まれていることを踏まえ、あくまでも参考として取り入れると良いでしょう。

医療業界や看護師の転職に強い転職エージェントを利用するのも有効な手段です。

転職エージェントでは医療機関や施設に関する情報を多数入手しています。「看護師の年齢層」「院内の雰囲気」「実際の残業時間」「休みの取りやすさ」「看護師長の人柄」など、求人情報に記載されない職場情報を提供してもらえれば、転職後のミスマッチも防げるでしょう。

ポイント5.できるだけ多くの求人を比較・検討する

自分に合った職場を見つけるには、さまざまな求人情報を比較・検討することが重要です。

魅力的な求人が見つかったからといって、求人情報だけで絶対に理想的な職場とは限りません。

1つの求人を見ているだけでは気づけないようなこともあります。複数の病院・施設の面接や職場見学を通して、発見できるメリット・デメリットもあるでしょう。

まずは、あらかじめ整理した「転職先に求める条件」「転職の目的」を基準として、それが実現できそうな求人を複数探し出しましょう。

そのうえで、内容を見比べ条件にマッチしそうなところは同時に応募を進めていくと、いろいろな職場を比較しながら転職先を探すことができます。

比較・検討する求人数としては10ヵ所程度を目安にしてみてください。

そこからさらに3~5社程度までに絞り込んで応募していくことをおすすめします。

ポイント6.職場見学をさせてもらう

職場見学をして実際の雰囲気を確かめる気になる医療機関や施設の求人情報を見つけたときは、入職を決める前に職場見学に行くことをおすすめします。

職場見学をするメリット

職場見学には以下のようなメリットがあります。

【事前に職場見学をするメリット】

  • 転職後のミスマッチを防げる
  • 通勤や勤務の具体的なイメージができる
  • 熱意をアピールできる

公式ホームページや求人情報から得られる情報はほんの一部にすぎません。

「写真で見るよりも建物や設備が古かった」「ベテラン看護師が多く同世代の看護師がいない」というように、職場に足を運んでみてこそ得られる情報も多いでしょう。

実際に働いたときの様子を具体的にイメージできれば、ミスマッチの少ない転職が実現するはずです。

また、職場見学を行ったうえで転職を希望するとなれば、応募先に対して熱意がアピールできます。採用担当者にも好印象を抱いてもらえるでしょう。

職場見学でチェックすべきポイント

せっかく職場見学をするなら、自分に合う職場かどうかをしっかり見極めたいところです。

以下に、職場見学で確認すべきポイントを紹介します。

院内の衛生状況
(ナースステーション・休憩室・患者さん用のトイレなど)
・掃除が行き届いているか
・整理整頓がされているか
・廃棄物が正しく処理されているか
スタッフの雰囲気 ・明るく挨拶を返してくれるか
・スタッフが笑顔で働いているか
・スタッフの年齢層に偏りはないか
・来客や患者さんに対する態度はどうか
・スタッフ同士のコミュニケーションが取れているか
・見学者についてスタッフに周知されているか
・ピリピリした雰囲気はないか
患者さんの様子 ・患者さんの表情はどうか
・スタッフと患者さんとの間にコミュニケーションがあるか
・スタッフはどのような言葉・態度で患者さんに接しているか
・院内は患者さんにとって快適な空間になっているか
・入院している患者さんはどんな疾患・状態の方が多いか
職場環境や設備 ・カルテは「電子カルテ」「紙カルテ」「併用」のどの仕様か
・看護記録の付け方はどうなっているか
・電子ベッドの導入状況はどうなっているか
・病床数や稼働率はどうなっているか
その他 ・院内の勉強会の頻度はどのくらいか
・研修や教育に関する考え方はどうか
・食堂や売店などは利用できるか
・仮眠室ではきちんと眠れそうか
・ロッカーは使い勝手が良さそうか

職場見学でのマナーや身だしなみ

職場見学をする際には先方に失礼のないように、マナーや身だしなみにも配慮しましょう。

以下に、職場見学の際の注意点を解説します。

【職場見学で注意すべきポイント】

  • すれ違うスタッフや患者さんに明るく挨拶をする
  • スタッフや患者さんの邪魔にならないよう配慮する
  • 話を聞くときは適度に相づちを打ち丁寧な態度を保つ
  • 仕事内容についてはどんどん質問をする
  • 労働条件についてはストレートすぎない表現で質問をする
  • 病院から見えなくなるまで緊張感のある態度を崩さない

明るく挨拶をしたり現場へ配慮したりといったことは、社会人としての基本的な礼儀です。

面接時と同じように、見られているということを忘れずに緊張感を持って臨みましょう。

また、「看護記録の付け方」「入職後の研修制度」「入院患者さんの傾向」など、直接業務に関わることは積極的に質問しましょう。

ただし、残業や休日などの労働条件についてはできるだけ聞かないか、質問するとしても直接的な表現は避けたほうが無難です。

「皆さんのお帰りは何時くらいでしょうか」「急に子供が熱を出してしまったときはどのようにされていますか」というように、聞き方に配慮すると印象を悪くせずに済むでしょう。

職場見学に出向く際の服装としては、スーツの着用をおすすめします。

靴は病院のフロアを歩くときに音が出ないよう、ヒールが高い靴は避けましょう。

職場見学の後はお礼のメールを送付する

職場見学を終えたら、当日のうちにお礼のメールを送ります。

転職エージェントを通じて見学を申し込んだ場合は、担当のキャリアアドバイザー経由でお礼を伝えましょう。使え方はサービスによって異なるので、担当者に問い合わせてみてください。

なお、下記にお礼メールを作成する際のポイントと例文を紹介します。

【お礼メールを書くときのポイント】

件名 「病院見学のお礼」などと内容がすぐに分かる件名にします。名前を入れる場合はフルネームを入れます。
宛名 病院名、担当部署、担当者名は省略せずに正確に書きます。
本文 感謝の言葉とともに見学で感じたことや見学しても良かった点などを自分の言葉で書きます。
署名 メールの最後には氏名、住所、連絡先を記載します。
【お礼メールの例文】

件名:病院見学のお礼 〇〇 〇〇(自分のフルネーム)
本文:医療法人〇〇会
〇〇病院
人事部 〇〇 〇〇様

看護師の〇〇 〇〇と申します。
本日はお忙しいところ、病院見学の機会をいただきまして誠にありがとうございました。

本日の見学では、〇〇様はじめスタッフの皆様に温かく迎えていただいたこと、
心より御礼申し上げます。皆様の熱意ある様子や患者さんへの丁寧な対応を
拝見しまして、大変有意義な時間を過ごせました。

この度は貴重なお時間を割いていただき、誠にありがとうございました。
取り急ぎ病院見学のお礼を申し上げたく、メールをさせていただきました。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

氏名:
住所:
電話番号:
メールアドレス:

ポイント7.自身の看護のレベルやスキルを正直に伝える

看護師の面接では、看護のレベルや看護スキルについて質問されることもありますが、偽らずに正直に話すようにしてください。

看護師の中途採用では即戦力となれる人材かどうかが重視される傾向にあります。また、経験が浅い新人看護師の場合、アピールできる看護スキルが少なくなかなか採用に至らないこともあるかもしれません。

だからといって、できないことをできると偽ってしまうと、採用されてから病院や職員に迷惑をかけてしまいます。

また、注意すべきは以下のような深刻なトラブルに発展する恐れもあるということです。

  • 内定取り消しの可能性がある
  • 懲戒の対象となる可能性がある

仮に内定を得られたとしても、嘘と分かった時点で内定が取り消しになるかもしれません。

また、入職後に虚偽が発覚した場合は、懲戒の対象となる、解雇されるといった可能性があります。

懲戒解雇の経歴があると、その後の転職活動にも支障が出るでしょう。また、キャリア全体にも悪影響を及ぼします。

たとえ働き続けられる状況になっても、職場の信用を失ってしまったり人間関係が悪くなったりと、嘘によって働きづらくなってしまうことも考えられます。

その場しのぎの嘘は後々のリスクにつながることを理解し、誠実な気持ちで転職活動に臨みましょう。

辞めたい看護師必見!勤務年数・年代別におすすめの転職先を紹介

例えば、看護になって1年目の新人看護師と40代のベテラン看護師では、経験や知識が異なるので転職先の選び方も違ってきます。

そこでここからは、勤務年数や年代ごとにおすすめの転職先を紹介していきます。転職の方向性を考える際の参考にしてください。

1年目の新人看護師におすすめの転職先

看護師は社会的需要が高い仕事ですが、看護師になって1年目の場合、ほとんど新人や未経験としての採用となるため、応募できる求人が限られてしまうのが実情です。

とはいえ、若くて体力のある人材を必要としている職場もあります。

以下のような職場であれば、1年目の新人看護師でも歓迎してもらえる可能性が高いでしょう。

【1年目の新人看護師におすすめの転職先】

  • 教育体制や研修制度が整っている規模の大きな病院
  • 療養型・リハビリ型の病院
  • 美容クリニック
  • 訪問看護ステーション

規模の大きな病院のなかには、新人看護師向けの研修やプリセプター制度、中途採用者向けの教育体制など、人材育成に力を入れているところも多いので、1年目の看護師でも転職しやすいでしょう。

また、看護の基本から専門分野まで幅広い勉強ができる「療養型」「リハビリ型」の病院もおすすめです。

これらの病院は比較的ゆったりとした雰囲気があり、新人看護師でもじっくりと看護に携わることができるでしょう。

美容クリニックは若手看護師のニーズが高い職場です。

美容クリニックの場合、医療処置を行うことはほとんどありません。そのため、臨床経験の浅い看護師の方でも応募しやすいでしょう。

ただ、美容クリニックは「夜勤がない」「給料が高い」といったメリットが多く人気の求人ですが、求人数自体が非常に少ないのが現状です。非公開求人が豊富な転職エージェントや美容クリニックに特化した転職サイトを利用して転職のチャンスを広げることをおすすめします。

高齢社会の昨今、需要の高まりとともに求人数が増加しているのが、訪問看護ステーションです。

基本的にひとりですべて行う仕事なので、新人看護師にはハードルが高めですが、慣れるまでは先輩職員と同行訪問したり訪問先で問題が発生した際にはスムーズに連絡・相談ができる体制を整えたりと、新人向けの対策を講じているところもあります。

2年目以降の看護師におすすめの転職先

1年目の看護師に比べて、基本的な看護業務の経験と知識を身に付けた2年目以降の看護師では、転職先の選択肢も増えてくるでしょう。

しかし、即戦力が求められる職場や教育体制の整っていないクリニックなど、数年の看護師経験しかない方には不向きなところもあります。

2年目以降の看護師にとって転職しやすい・働きやすい職場としては、以下のような施設があげられます。

【2年目以降の看護師におすすめの転職先】

  • 療養型・リハビリ型の病院
  • 精神科の病院・病棟
  • 患者さんの重症度が低い急性期病院
  • 中規模の病院
  • 専門性の高い職場
  • 美容クリニック
  • 透析クリニック

「今の職場が急性期病院で負担を感じている」という理由から転職する場合は、急性期に比べて比較的症状の落ち着いた患者さんが多い療養型やリハビリ型、精神科の病院への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

急変対応などの突発的な看護業務が発生しにくいので、業務の忙しさやプレッシャーは軽減する可能性が高いでしょう。

一方、「急性期病院でもう少し経験を積んでみたい」と考えているなら、患者さんの重症度が低く、緊急入院や緊急手術が少ない病院への転職がおすすめです。

「スタッフ数が多い」「教育体制が整っている」といった職場を選べば、急性期病院でも負担が軽くなる場合があります。10対1の病院やケアミックス病院を探してみても良いでしょう。

また、教育制度が整っている500床以下の中規模病院も2~3年目の看護師の転職先におすすめです。中規模~大規模病院での勤務経験は高い評価につながるので、次に転職する際にも有利になります。

2年目以降であれば、専門領域に特化したクリニックへの転職も可能になってきます。

看護経験3年以上の方に比べれば選択肢は限られますが、今後のキャリアプランを考えてスキルアップを図りたいなら、チャレンジする価値はあるでしょう。

経験よりも意欲を重視して採用活動を行う医療機関もあるので、転職活動では具体性のあるキャリアプランを熱意とともにアピールするなどして、経験面を意欲でカバーするようにしましょう。

美容クリニックや透析クリニックも、2年目以降の看護師にとって比較的転職しやすい職場です。

ただし、美容クリニックでの経歴は「臨床経験」として見なされにくいため、次の転職で選択肢が狭まってしまう可能性があります。

透析クリニックは定期的に通院する患者さんが多いので、ひとりひとりと向き合った看護ができますが、教育体制が十分でない職場や経験者のみ募集している案件が多いという懸念点があります。

30代・40代の看護師におすすめの転職先

看護師として長く経験を重ねてきた30代・40代の看護師が転職する場合は、今後のキャリア形成やライフステージの変化を見据えたうえで転職先を選びましょう。

残業が多かったり夜勤があったりと体力面でハードな職場では、長期的な勤務が難しくなり、また転職をすることにもなりかねません。

現在だけでなく3年後、5年後、10年後を考慮することが転職を成功させるための重要なポイントになります。

以下に、「出産や子育てを機に働き方を変えたい」「体力的に厳しくなってきた」といった理由から転職を考えている30代・40代の看護師におすすめの転職先を紹介します。

転職の目的に合わせて転職先を検討してみてください。

【30代・40代におすすめの転職先】

  • 総合病院
  • クリニック・診療所
  • 訪問看護ステーション
  • 療養型病院
  • 介護施設

転職の目的がスキルアップやキャリアアップなら、総合病院への転職がおすすめです。

総合病院は扱う診療科が多いので、さまざまな看護経験を積むことができます。

大規模病院であれば、最先端の医療に触れられる可能性も高いです。師長やリーダーなど将来的に管理職を目指す方にも向いている職場と言えるでしょう。

「夜勤のない職場に転職したい」「40代になって体力がもたなくなってきた」という場合は、日勤のみで働けるクリニックや診療所への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

クリニックは土曜の午後や日曜を休診としているところも多いので、週末にプライベートの時間が持てるのもメリットです。

夜勤がないという点で言えば、訪問看護ステーションもワークライフバランスを重視したい方には選択肢のひとつになるでしょう。

訪問は基本的にひとりで行うので、自分のペースで看護したい方や患者さんひとりひとりに向き合いたい方におすすめです。

また、療養型病院は業務内容が比較的穏やかで残業が少ないので、過酷な看護業務に疲れてしまった方の転職先としても適しています。

看護師としての経験やスキルを活かせる職場としては、「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」「デイサービス」などの介護施設があげられます。介護施設の主な看護業務は利用者さんの健康チェックや投薬の管理などで、医療ケアが行われる機会は少ないでしょう。

ただ、職場によっては看護師が介護業務も行うところもあるので、応募前には業務内容をしっかり確認しておきましょう。

看護師の転職におすすめの転職サイト・転職エージェント5選

ここからは、看護師の転職におすすめの転職サイト・転職エージェントを紹介します。

看護師転職でおすすめは【ナース人材バンク】


ナース人材バンクは、看護師の転職支援実績No.1、年間の利用者数が10万人以上など、高い実績と人気を誇る看護師専門の転職支援サービスです。
 
北海道から沖縄や離島まで、全国各地の求人を取り扱っており、各都道府県の担当キャリアパートナーが在籍しているので、地方での転職を考えている方にもおすすめです。

その地域ならではの転職事情や病院・クリニックの内情を把握しているので、転職先に関するリアルな情報をチェックしながら自分にあった職場を探せます。

また、ナース人材バンクでは、以下のようなサポートが無料で受けられます。

  • 求人の紹介
  • 履歴書の作成サポートや添削
  • 面接など選考の日程調整
  • 条件の確認や交渉
  • 実際に働いている人の口コミ情報の提供

キャリアの相談だけでも利用可能なので、「転職すべきか迷っている」「キャリアプランが定まらない」という悩みがある方は、アドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。

マイナビ看護師


マイナビ看護師は、大手人材紹介会社の株式会社マイナビが運営する、看護師のための転職サイトです。
 
独占求人や非公開求人を含む約8万件もの豊富な求人情報を取り扱っており、以下のようにさまざまな職場の求人が掲載されているので、希望の求人に出会える可能性が高いでしょう。

  • 病院
  • クリニック・診療所
  • 美容クリニック
  • 施設
  • 訪問看ステーション
  • 看護資格・経験を活かせる一般企業
  • 治験関連企業(CRA、CRCなど)
  • 保育施設
転職支援実績が豊富なマイナビ転職なら、スピーディーな転職も実現可能です。

医療業界専門のキャリアアドバイザーが全力でサポートしてくれるので、「すぐに転職の相談に乗ってほしい」「とにかく早く転職先を決めたい」という方にもぴったりです。
 
また、マイナビ転職に登録すると、求人紹介から内定獲得後の条件交渉まで、転職活動を幅広くサポートしてもらえます。
 
転職のプロによる書類添削や面接へのアドバイスがあれば、選考の合格率もぐっと上げることができるでしょう。

レバウェル看護(旧:看護のお仕事)


レバウェル看護(旧:看護のお仕事)は、「2022年オリコン顧客満足度調査 看護師転職」で「アドバイザーの対応」「紹介求人の質」「病院・施設との交渉力」の3部門で№1を獲得した転職サイトです。
 
業界最大級の求人数があり、2022年8月時点の公開求人数は13万件以上!
 
大手優良企業が経営する病院や人気の美容外科など、好待遇・好条件の非公開求人も豊富に取り扱っているので、他ではない魅力的な求人に出会えるかもしれません。

「未経験可」「ブランク可」といった求人も多数保有しています。そのため、キャリアに自信がない方でも希望に合った転職先が探せるでしょう。

さらに、年間4,000回以上の職場訪問を行っているレバウェル看護では、実際の職場の雰囲気や退職者の退職理由などの内部情報も入手しています。
 
入職前に転職先のリアルな情報が分かれば、転職後のミスマッチも防げるでしょう。

看護師ワーカー(旧:医療ワーカー)


看護師ワーカー(旧:医療ワーカー)は、看護師の就職・転職に特化した転職支援サービスです。
 
2022年8月時点の公開求人数は約59,000件で、日本全国の求人を取り扱っています。

中でも、首都圏・関西・東海エリアの求人が多いので、該当エリアでの就職や転職を希望する人に特におすすめです。

また、長年の人材紹介で培ってきた独自のネットワークを持っているのも看護師ワーカー(旧:医療ワーカー)の強みで、一般には公開していない好条件の非公開求人も豊富に保有しています。
 
さらに、求人検索では「地域」「職種」「施設形態」に加えて、以下のように「働き方」からの検索も可能です。

常勤(夜勤あり)/常勤(日勤のみ)/常勤(夜勤のみ)/夜勤バイト・夜勤専従/パート・アルバイト・派遣/応援看護師

詳細条件を設定して求人検索ができれば、自分に合った転職先も探しやすくなるでしょう。

看護roo!転職サポート


看護roo!転職サポートは、看護学生・若手看護師向けメディア「看護roo!(カンガルー)」による無料の転職支援サービスです。
 
自由に求人を検索する「求人サイト」としても利用できますが、登録すると求職者に代わって求人を探してもらえます。
 

【求人紹介を受けたい場合の手順】
  1. 電話で希望条件を伝える
  2. 求人が届く
  3. 情報を確認し、気になる求人があれば応募する

応募方法や求人に関する質問があった場合は、LINEやメールで問い合わせることができ、応募に迷った際も転職支援のプロによるアドバイスが受けられます。
 
また、以下のようにサポート内容も充実しているので、初めて転職する方でも安心して転職活動が進められるでしょう。

  • 求人紹介
  • 転職先の情報提供
  • 選考日程の調整
  • 履歴書の添削
  • 面接対策
  • 病院の見学
  • 条件の交渉
  • 円満退職のためのアドバイス

看護師以外の仕事に転職したい人向けの転職サイト・エージェント

続いて、看護師から他職種への転職を希望する方に向けて、おすすめの転職サイト・エージェントを3社紹介します。

リクルートエージェント

【特徴】

  • 業界最多級の公開求人・非公開求人数を誇る
  • 各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍している

リクルートエージェントは「株式会社リクルート」が運営する、転職支援実績№1の転職エージェントです。

公開求人数は約418,000件、非公開求人数は約309,000件と圧倒的な求人数を誇っており、求人情報は日本全国を網羅しています。(2023年8月時点)

「営業」「販売」「事務」「IT・通信業界」「商社」「人材業界」「金融・保険業界」「インフラ」と、幅広い業界・職種の求人情報を取り扱っているので、さまざまな選択肢から転職先を探すことができるでしょう。

求人の豊富さに加えて、実績豊富なキャリアアドバイザーの存在もリクルートエージェントの強みです。

リクルートエージェントには、各業界に精通したキャリアアドバイザーが多数在籍していて、登録すると求職者の希望やスキルにマッチした求人をプロの視点から厳選して紹介してくれます。

リクルートエージェントでは、一般には公開していない非公開求人も多数取り扱っているので、他社では良い案件が見つからなかった方でも魅力的な求人に出会える可能性が高いでしょう。

大手リクルートが運営しているだけあって、以下のように全国各地に拠点が設置されています。

【拠点一覧】東京本社/北海道支社/東北支社/宇都宮支社/さいたま支社/千葉支社/西東京支社/横浜支社/静岡支社/名古屋支社/京都支社/大阪支社/神戸支社/中四国支社岡山オフィス/中四国支社広島オフィス/福岡支社

住んでいるエリアに限らず利用できるので、地方で転職したい方やUターン・Iターン転職にもおすすめです。

doda

【特徴】

  • 転職サイトとしてだけでなく転職エージェントとしても活用できる
  • お役立ちコンテンツ・ツールが充実している

dodaは「パーソルキャリア株式会社」が運営する、求人情報・転職サイトです。

他社サービスと比較しても取り扱い求人数は多く、その数は公開求人数だけで204,000件を超えています。(2023年8月時点)

公式ホームページでは、職種、勤務地、業種、雇用形態、年収などのほか、「完全週休2日制」「産休・育休実績あり」「職種未経験歓迎」といったこだわり条件からの求人検索が可能です。

また、求人特集や毎週月・木曜に更新される新着求人からも求人を探すことができます。

こうした転職サイトとしての利用に加えて、dodaでは以下のようなサービスも提供しています。

エージェントサービス 専任スタッフが求職者に対して求人を紹介するサービス
スカウトサービス 求職者の経験・スキルに興味を持った企業からスカウトが届くサービス
パートナーエージェントサービス dodaが契約しているートナーエージェントからスカウトメールが届くサービス

「転職活動をサポートしてほしい」「看護師の仕事を続けながら転職活動がしたい」という方には、エージェントサービスへの登録がおすすめです。

「求人紹介」「応募書類の添削」「面接対策」など、転職活動を幅広くサポートしてもらえれば内定獲得率も向上するでしょう。

さらにdodaでは、転職活動のさまざまな場面で役立つコンテンツやツールも用意しています。

【dodaの診断・書類作成ツール】「年収査定」/「レジュメビルダー」/「『自己PR』発掘診断」/「転職タイプ診断」/「キャリアタイプ診断」

特におすすめなのは、簡単に職務経歴書が作成できる「レジュメビルダー」です。応募書類の作成に自信がない方はぜひ上手に活用してみてください。

JAIC(ジェイック)就職カレッジ

【特徴】

  • 20代や未経験の就職・転職に強みがある
  • 就職・転職活動の方法を学べる就職講座を実施している

JAIC(ジェイック)は「株式会社ジェイック」が運営する、就職・転職支援サービスです。

ジェイックが提供しているサービスのひとつに18~35歳の方向けの「就職カレッジ」があります。

「就職カレッジ」はフリーター・ニート・第二新卒などの就職活動初心者や正社員就業の経験がない方の就職・転職支援に強みを持っていて、未経験に特化したサポートを行っています。

「就職カレッジ」で好評なのが、社会人としての基本や就職・転職活動の進め方を一から学べる無料の就職講座です。

【就職講座の内容の一部】ビジネスマナー/自己分析・企業研究のやり方/履歴書の作成方法/面接対策

実績豊富な専任の就職アドバイザーが幅広くサポートしてくれるので、初めての転職活動に不安を感じている方でも安心して利用できます。

また、「就職カレッジ」では書類選考なしで最大20社の企業と面接ができます。

企業はすべて「就職カレッジ」が取材した有料企業で未経験者の採用に積極的な会社です。面接前には専門スタッフによる面接対策が行われるので、面接に自信がない方でもしっかり準備ができるでしょう。

ジェイックの「就職カレッジ」には最短2週間で内定を獲得した実績もあるので、急いで就職・転職したい方にもおすすめです。

ただし、「就職カレッジ」の利用は全国どこでもできるものの、求人が少ない地域もあるようです。

希望勤務地での転職が可能かどうか、利用前に問い合わせをしておくと良いでしょう。

人ごとではない!?看護師の転職失敗事例を紹介

悩んで転職したにも関わらず、「転職を失敗した…」と感じるケースは少なくありません。

ここでは、転職してもうまくいかない看護師のよくある転職失敗事例を紹介します。

是非、自分の転職活動の参考にしてください。

【転職失敗事例1】職場の雰囲気や人間関係が悪かった

転職先の職場の雰囲気が悪かったり人間関係が悪かったりした場合、転職を失敗したと感じる看護師は多くいます。

新卒採用が主流の大きな病院に中途採用で転職した場合などは疎外感を味わいやすく、出来上がった人間関係の中に馴染むのは容易ではありません。

経験の浅い年下の先輩の下に就くことになるなど、人間関係が難しくなる要因と言えます。

また、職場内に派閥ができていると職場の雰囲気も悪く、なかなか溶け込むことが難しいと感じることも。

個人クリニックの場合はワンマン院長のパワハラや、親族経営クリニックの場合は院長夫人や兄弟姉妹が経営に携わっていることも多く、人間関係がネックになることは多いでしょう。

入職するまで人間関係はわかりづらい面がありますが、職場を見学すればある程度スタッフ間の人間関係や職場の雰囲気を感じることができるもの。
在職していたスタッフの口コミだけでなく患者の口コミもチェックし、最低でも内定前には見学に行くことをおすすめします。

【転職失敗事例2】給料やボーナスが下がった

給料やボーナスが前職よりも下がってしまった場合、転職を失敗したと感じる看護師は多くいます。

求人票の給料の額で判断して転職先を決めてしまうと、ボーナスが思ったより低かったと愕然とする人も。
ボーナスは経営状態によって変動することもあるので、内定前にしっかりと確認しておかなければなりません。

転職の原因となるほかの譲れない条件を優先してしまった結果、実は給料が安かったり、昇給率が悪かったりと、全体的に前職よりも年収が下がってしまったとなげく人も。

また、とにかく早くに転職したいと焦って転職先を決めてしまうと、条件面を見落として給料が下がってしまったなんてこともあるのです。

お金の問題は生活面の問題と直結しているので、「看護師の給料なんてどこも同じくらいだろう」と決めつけずに、細かい条件も見逃さずに内定前に基本給とボーナスの金額を採用側に確認しておきましょう。

提示通りの給料をもらっていても仕事量と見合った金額ではない場合も転職を失敗したと思う要因となります。
前職よりも給料が上がっても、その見返りがハードワークだったことが判明したときに転職失敗を痛感するのでしょう。

【転職失敗事例3】勤務条件や業務内容が求人情報と違っていた

転職先の勤務条件や業務内容が応募時の求人情報と違っていた場合、転職に失敗したと思う看護師は多くいます。

内定時に決まっていた希望の配属先や勤務時間が異なっていたり、休暇が取りにくかったりと実際に入職してから判明することも。

人手不足を理由にオーバーワークとなってしまう、担当業務ではないことに責任を持たされてしまうなど、適当にごまかされて日常業務となってしまい泣き寝入りする看護師もいます。

「勤務条件が違う」「これは私の仕事ではない」とはっきり言えない職場の雰囲気にモヤモヤしながら毎日を過ごすことに。

また、引き継ぎがなく教育体制が整っていないなど自分が当たり前にあると思っていた概念を覆された場面に直面した場合、転職に失敗したとなげくこともあるでしょう。

未経験でも大丈夫と求人票にあった仕事内容にも慣れることができずに、自信を失うことも。

求人票にある勤務条件や仕事内容を鵜呑みにせず、応募先の情報収集を徹底的に行うことをおすすめします。
実際に見学に赴いて、スタッフの表情や態度、行動などからさまざまなことをくみ取ることも大切です。

【転職失敗事例4】医師や医療の質が低かった

転職した先の医師や医療の質が悪いことがわかると、転職の失敗を実感する看護師も多いです。

前職場で当たり前だと思っていた医療のスキルや知識などの質のギャップに落胆することも。

医師の力量不足を目の当たりにすると、医師を尊敬できなくなり仕事のモチベーションも下がってしまうでしょう。

転職したばかりの身では何も変えられないことを実感することに。

医師や医療の質が低いと、自分が思うような医療を患者に提供できないことにストレスを抱え込むことになってしまいます。

特に大学病院や公立病院などの大きな病院から小さなクリニックや病院以外の施設に転職した場合、これら医師や医療の質のギャップにとまどうことが多いと言えます。

また、医師と看護師が対等な立場ではない場合や風通しの悪い人間関係の職場である場合、医療の質が下がってしまう可能性が高くなるのです。

満足のいく医療ができないと、やりがいを感じられなくなり、「こんなはずじゃなかった」と転職を後悔することになってしまうのですね。
事前の職場見学で、現場の雰囲気はある程度わかるものです。自分の確認したい部分に注目して職場見学をすることをおすすめします。

【転職失敗事例5】情報収集が足りなかった

事前の情報収集不足で転職を失敗したと思っている看護師は多くいます。

転職先で「こんなはずじゃなかった」と思うことの多くは、条件面や業務内容のミスマッチでしょう。

求人情報に掲載されている条件を詳細に確認していなかったり、実際の職場環境や職場の雰囲気を確認していなかったりと、転職先の情報収集が足りなかったことが原因となっています。

自分の優先する希望条件だけで即決せずに、それ以外の条件も明確に把握しておく必要があります。

基本的に確認しておきたい条件を以下にあげるので、参考にしてください。

  • 設立して何年経っているのか
  • 具体的な仕事内容
  • 勤務シフト
  • 看護体制
  • オンコールの有無
  • 教育体制・キャリアップ制度
  • 看護師の人数
  • 看護師一人の担当患者数
  • 看護師の平均年齢
  • スタッフの勤務年数
  • 離職率
  • 職場の雰囲気
  • 上司や経営者の人柄
  • 給料・ボーナス・年収
  • 各種手当の有無
  • 勤務時間・残業の有無
  • 休暇・有給休暇取得実績
  • 福利厚生
  • など

事前に調べられることは調べておき、面接時にあやふやなことはしっかりと確認しなければいけません。
転職エージェントの紹介の場合は、細かすぎるほど担当のキャリアアドバイザーに聞いておきましょう。

当たり前だと思っていたことが、転職先でも同様にあるとは限りません。
情報収集にはそれなりの時間と労力がかかりますが、転職に失敗しないためには手間暇を惜しまずにしっかりと判断材料を集める必要があるのです。

看護師辞めてよかった&転職してよかった満足の声

看護師を辞めたいけど迷っている、ほかの職場に転職したいと転職に踏み切れずに看護師の仕事を続けている人も多いでしょう。

ここでは、ほかの職場や看護師以外への転職をしてよかったという満足の声を紹介します。

身体が楽になった

看護師の仕事は、長時間の立ち仕事や緊急時の対応などハードワークになりがちです。

夜勤や残業など不規則な勤務体制にもなりやすく、休息を取ることが難しいことも。

よって、看護師ならではの体力的負担を苦にして辞める看護師も少なくありません。

看護師を辞めてからは、「疲れて寝てばかりだった休日に出かけられるようになった」「腰痛が治り体調がよくなった」「生活リズムが改善し肌荒れがなくなった」など、身体が楽になった人は多くいます。

新しい職場や看護師から転職することで心身ともにゆとりのある働き方ができるようになり、不調が改善することも。

身体が楽になればメンタルも前向きになり、仕事にも専念できるのかもしれません。

ストレスが減った

看護師は患者の命に関わる業務が多く、ミスが許されない精神的負担が大きい仕事です。

臨機応変に対応することが求められ、終始気を張っていなければなりません。

これらの重圧から解放されたいと辞める看護師は多くいます。

また、協調性やチームワークなど縦の主従関係が強い看護師の職場では人間関係のトラブルも多く、人間関係で辞めたいという看護師も多くいます。

緊張感ある看護師独特の職場で責任の重さや息苦しい人間関係などを一度感じてしまったら、出勤すること自体にストレスを感じてしまうもの。

看護師を辞めることで業務のプレッシャーや人間関係から解放されれば、自ずとストレスは減るでしょう。

「常に感じていた責任感から解放された」「緊張感からくるストレスがなくなった」「面倒な人間関係から解放された」と肩の荷が下りたと感じる人が多いようです。

ストレスで体調を崩してしまう可能性もあるため、早めの対処が必要ですね。

プライベートの時間が充実するようになった

休日や勤務時間が不規則であることが多い看護師の仕事は、自分の都合で休暇を取れなかったり、疲れ果てて予定を入れる余裕がなかったりとプライベートを犠牲にすることも多いでしょう。

休日や長期休暇の取得が難しくオンコールなどで予定が立てにくい状況が続くと、プライベートで発散することもできずにストレスがたまり辞めたくなる看護師は多いです。

看護師になりたての頃は当たり前だった勤務体制も、結婚や介護などライフステージの変化によって夜勤や土日祝日の勤務が難しくなることも。

残業や夜勤などプライベートの時間が思うように取れなかった人は、看護師を辞めてからは休みが取りやすくなりプライベートの時間を確保できるようになるでしょう。

「友達と予定を合わせて会えるようになった」「家庭でのすれ違いがなくなった」「趣味の時間が増えて満足」と、仕事とプライベートのメリハリがついて生活が安定するようです。

プライベートが充実していれば、多少仕事がきつくてもがんばることができますよね。

転職活動の前に疑問を解消!看護師の転職に関するよくある質問を紹介

実際に転職するとなってはじめて気になったり不安に感じたりすることもあるでしょう。

そこでここでは、看護師転職で疑問に感じやすいことをピックアップして回答していきます。転職活動をスムーズに進めるためにも、分からないことは事前に解消しておきましょう。

質問1.看護師の転職理由で多いものは?

仕事を辞めたいと思う理由は人によって異なります。そのため、転職したいと考えている看護師のなかには「他の看護師さんはどんな理由から辞めたいと思っているのだろう」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

日本看護協会による「2021(令和3)年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人就職に関する分析報告書」によると、看護師が仕事を辞めたいと思う理由としては以下のような回答が多くなっています。

※「就業中(看護職)」の求職者の退職したい理由

退職したい理由 割合
看護職の他の職場への興味 11.5%
子育て 7.4%
転居 7.2%
結婚 6.9%
勤務時間が長い・超過勤務が多い 5.2%
自分の健康(主に身体的理由) 5.0%
昇進・昇給・給与に不満 4.7%
夜勤の負担が大きい 4.4%
妊娠・出産 4.3%
親族の健康・介護 4.0%

退職したい理由としてもっとも多いのは「看護職の他の職場への興味」でした。

次いで「転居」「子育て」とライフステージの変化によって辞めたいと考える方が多いことが分かっています。

また、長時間労働、身体的な辛さや夜勤など、看護職ならではのハードワークや体力面の負担も辞めたいと思う原因になっているようです。

質問2.看護師から他職種への転職でおすすめの仕事は?

看護師の転職では、看護師として働き続けることを辞めて看護資格を活かせる職場への転職をする方も少なくありません。

以下に、看護師以外に看護師の経験・スキルを活かせる職種を紹介するので、転職の方向性を考える際の参考にしてください。

【看護師からの転職がおすすめの職種】

  • 治験業務のある企業の治験コーディネーター(CRC)・臨床開発モニター(CRA)
  • 一般企業の企業看護師・産業保健師
  • 保育園の常駐看護師

「新薬の開発に携わりたい」という方には、看護師資格を活かして治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)へ転職するという選択肢があります。

治験コーディネーターは、治験に関する医療機関や製薬会社、被験者との連絡や調整を行う仕事で、主に治験を行う医療機関に所属して業務を行います。

臨床開発モニターは、治験実施契約書、薬機法、GDPに則ったうえで治験が適切に実施されているかをモニタリングする職種です。製薬会社や医薬品開発業務受託機関(CRO)に所属し、治験コーディネーターと連携して業務を進めていきます。

一般企業の企業看護師や産業保健師は、従業員の健康管理が主な仕事です。

デスクワークが中心で夜勤がないのでワークライフバランスを重視したい方におすすめです。

ただし、看護師にとって企業求人は人気が高く、求人数も多くないので、狭き門となることは理解しておいたほうが良いでしょう。

また、保育園の常駐看護師として園児をはじめ職員や保護者の健康管理・サポートを行う仕事もあります。

子供と接する機会が多いので、子供好きな方や子育て経験がある方に向いている職種と言えます。カレンダー通りに休めたり夜勤がなかったりとメリットは多いですが、病棟看護師に比べると給料が低い傾向にあるので注意が必要です。

応募前に収入面においてどのくらい差があるかをしっかり確認して、転職の失敗を防ぎましょう。

質問3.転職エージェントのサポートを利用するメリットは?

直接求人に応募したりハローワークを利用したりと、転職エージェントを利用せずに看護師が転職する方法もあります。

しかし、転職活動では何かとやるべきことが多いのが現実です。

特に、看護師として働きながら転職先を探すとなると、転職活動にあてられる時間が限られてしまいます。

仕事の疲れや看護の勉強に追われるような生活では、転職活動が効率良く進められず想定よりも長引いてしまうかもしれません。

その点、看護師向けの転職エージェントに登録すれば、以下のように多くのメリットが得られます。

【転職エージェントを利用するメリット】

  • 希望に沿った求人を紹介してもらえる
  • 求人票に掲載されていない職場情報を提供してもらえる
  • 応募書類の添削をしてもらえる
  • 面接対策をしてもらえる
  • 応募先との連絡、面接日程の調整、条件の交渉を代行してもらえる
  • 転職やキャリアに関する相談ができる

転職エージェントへ登録すると、応募の手続き、応募先との連絡、面接日程の調整などをキャリアアドバイザーが求職者に代わって行ってくれます。

そのため、現役看護師の場合でも限られた時間を有効に使って転職活動が進められます。

また、履歴書の作成や面接対策などキャリアアドバイザーのサポートを受けることで、採用担当者の好印象につながる書類が作れたり効果的な自己アピールができたりと、充実した選考準備が可能になります。

転職支援実績が豊富なキャリアアドバイザーの存在によって、内定獲得率もぐっと向上するでしょう。

質問4.看護師が転職するのによい時期は?

「今すぐ辞めたい」「精神的につらい」という状態でない限り、どうせ転職するなら有利な時期に転職したいもの。

看護師が転職するのによい時期として、【キャリアプランの中での好時期】と【一年間でタイミングのよい時期】があります。

看護師として経験を積んでいく中での転職時期は、 3年以上の経験値がある看護師が採用側に重宝される使いやすい人材と言えるでしょう。

5年を過ぎればプリセンターを任すことができ、自身でこなせる仕事の幅も広がり、即戦力として魅力的な人材となります。

よって、キャリアプランの中でおすすめの転職時期は5年前後、10年未満と言えるでしょう。

10年を超えるとベテランの域に入りますが、採用側からすると扱いづらい、新しい知識の吸収が悪いのではないかと懸念される可能性があります。

一年を通して転職のタイミングとしてよい時期は、以下の通りです。

  • 1月:求人数のわりに競争率が低いため
  • 6月:ボーナスを受け取ってから辞める人が多いため
  • 9月:即戦力採用を強化するため
  • 11月:年明けに向けて採用活動が活発化するため
新卒入社がある4月や繁忙期である12月は転職に不向きな時期であるため、注意しましょう。

質問5.転職回数が多いけど転職できる?

転職回数が多い看護師は、転職回数が少ない看護師よりも採用が不利に働くと考えられます。

何回も転職している看護師よりも、一か所で長く働いていた看護師の方が好意的に受け取られてしまうのは仕方ありません。

しかし、それぞれの退職にきちんとした退職理由があり、しっかりとした考えを持っていることを面接でアピールできれば、転職は可能です。

退職理由は面接で必ず聞かれることなので、転職回数が多い人は経験豊富な転職エージェントと面接対策をすることをおすすめします。

転職先が求めている人物像を把握し、採用情報に詳しく、企業情報を熟知している転職エージェントであれば、転職回数が気にならないほどの対策を打ち出してくれるでしょう。

質問6.転職活動は在職中にするべき?

「心身ともに疲弊している」「精神的につらい」「病気になる一歩手前」でない限り、転職活動は在職中からしておくとよいでしょう。

急な人員不足で即採用したいという病院や企業は別ですが、在職しながらの転職活動は焦らずに転職先を決めることができるからです。

仕事をしながら転職活動を行うのは多忙な看護師にはとても大変なことですが、転職エージェントに登録すれば自分が提示した条件に合った求人を探してくれる上に、求人票では知り得ない内部情報も教えてくれます。

転職活動の日程調整や面接対策なども転職エージェントに任せることができますよ。

また、働いているため経済的な心配がなく、じっくりとさまざまな職場や採用条件を比較検討することができ選択肢が広がります。

在職中に転職先が決まれば、順を追って辞める手続きを行えてブランクを作ることなくスムーズに転職することができるでしょう。

精神的肉体的に問題がない限り、辞める前にしっかりと転職計画を立てた上で、在職しながらの転職活動をおすすめします。

質問7.ギリギリの転職はしない方がいい?

在職中に転職活動をすると、意外な早さで希望条件に合致した求人が見つかるかもしれません。

「落ちるかもしれないし」と応募した求人の面接が通ってしまい、とんとん拍子に採用が決まってしまったら、思いがけず転職時期が早まってしまう可能性があります。

そうならないためにも病院や企業には「在職中であること」と「可能な転職時期」を提示するか、入職時期を確認して応募しましょう。

就業規則云々よりも急な人手不足に陥る状態や引継ぎができない状態は、病院や同僚に迷惑をかけるマナー違反です。

また、転職したい時期、辞める時期は決まっているのに転職先が決まっていない場合、ギリギリに転職先を決めてしまうこともあるでしょう。

この場合は焦って転職先を決めてしまうなど冷静な判断ができなくなることや、選択肢が狭まってしまう可能性も否めなくなってしまいます。

在職しながら転職活動を行う場合は、しっかりと計画を立てて進めることが転職成功の近道となるでしょう。

質問8.ブランクが心配だけど転職できる?

結婚や出産、育児、介護など家庭の事情やライフスタイルの変化でブランクがあるもしくはブランクがあった看護師は多いでしょう。

中には看護師の仕事に疲れて心身の休息のために旅行や留学などでリフレッシュとしてブランクを持つ人もいます。

実際ブランクがあっても復職する看護師は多く「ブランク可」の求人は多く存在するため、看護師としてブランクがあっても転職は可能です。

近年は医療業界が人手不足なこともあり、無料のセミナーや復職支援、現場の体験会など看護師の復職をサポートする制度も充実しているのです。

それでも復職をためらっている看護師は、パートや時短勤務などで徐々に慣らしていく方法もあります。

「ブランク可」や「研修制度あり」などの募集であれば、必要とされる技術が高くない条件である場合が多いと言えるでしょう。

看護師の資格や経験があれば、探し方や選び方、自己PR次第で転職先は見つかるはずです。

質問9.看護師を辞める前にしておくべきこととは?

以下に、看護師を辞める前に必要な行動についてまとめました。退職・転職を決断した方はもちろん、転職を検討している方もぜひ参考にしてください。

タイミング 必要な行動
転職活動前 ・辞めたい理由を整理する
・転職の目的や転職先に求める条件を明らかにする
・転職活動のスケジュールを立てる
・就業規則を確認する
転職活動 ・転職サイトや転職エージェントに登録する
・自己分析やキャリアの棚卸しを行う
・看護師の転職事情や応募先の情報収集をする
・書類選考や面接の対策をする
退職を決断したとき
転職先が決まったとき
・直属の上司へ退職を申し出る
・退職日や最終出勤日を決める
・退職手続きを行う
・未消化の有給休暇があれば計画的に消化する
・後任者へ業務の引き継ぎを行う
・お世話になった方へ退職の挨拶をする

看護師を辞めたいと思ったらまずはできる対処法を考えてみよう

看護師の仕事は心身共にハードなので、「向いていないのでは?」「辞めたほうが幸せかも」と感じることは誰にでもあり、甘えではありません。看護師を辞めて違う仕事に転職し、「辞めてよかった」と言える未来もあるかもしれないのですから。
 
そんな時に大切なのは、一度立ち止まって対処法を考えることです。休暇を取ったり誰かに相談したりすれば、気持ちが落ち着いて冷静に判断できるようになるはずです。
 
ひとりで悩まず、時には転職サイトも上手に活用しながら、納得のいく決断をしてくださいね。

この記事の監修者
キャリアコンサルタント杉原美佐子様
杉原美佐子
キャリアコンサルタント

リカレントサービス 杉原企画代表 / キャリアコンサルタント/ ハラスメントカウンセラー / ITコーディネータ
金沢市出身。各種学校の非常勤講師、企業研修講師などを務める。日本を代表する大手ソフトウェア会社でシステム開発に携わった後、インストラクターに転身。数多くの資格を持ち、Microsoft Office研修、コミュニケーション・マナー研修、キャリア教育など人材育成を中心に活動。職業能力開発促進法 登録キャリアコンサルタントでもある。就職支援においては、面接対策や自己PR・志望動機・履歴書・職務経歴書の作成には定評がある。
URL:https://www.misako-sugihara.com/

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