(2017.7.17)1日インターン7割増 学生との接触増やす 就活、3年夏に実質始動

1日インターン7割増 学生との接触増やす 就活、3年夏に実質始動

学生が仕事を理解するためのインターンシップを1日のみ開催する企業が今夏以降、前年同期比で約7割増える。人手不足を背景にインターンを通じた青田買いに乗り出す企業も増えている。1日型を通じて就業体験する学生の裾野が広がり、大学3年生の夏から事実上の就職活動が始まる流れが加速しそうだ。

経団連の指針では大学新卒の採用活動は4年生の6月から面接などの選考活動が解禁され、企業はその年の2月末まで採用目的で学生に接触できない。一方でインターンであれば、採用活動前に学生の個人情報などを集められるため、この数年で3年生の夏休みからインターンを開催する企業が増えていた。
大手就活サイトで今夏以降に1日型を開催すると告知した企業は、延べ8871社(6月1日時点)と7割増えた。今年7~9月の夏季では1日型が全体の7割程度を占める。10~11月の1日型も増加傾向にある。
費用が比較的安く済む1日型を開催する中小企業が増えている中、5日間以上のインターン開催を加盟企業に求めてきた経団連も今春に1日型の開催を認めた。学生からは「多くの企業を知ることができそうだ」(慶応義塾大学商学部3年生)などの声が聞かれる。
明治安田生命保険は18日から、1日型を初めて開催する。首都圏では募集開始から2日で約1000人の募集枠が埋まったという。大阪や名古屋などの会場も含めて1日型だけで約1600人の学生を集め、夏季インターン全体の参加人数は前年より増える。
三井住友海上火災保険も今年から1日型を始める。第一生命保険は札幌など地方都市でも1日型を開き、多くの学生に就業体験の機会を提供する。積水化学工業は1日型で、学生が住宅営業を体験できるようにする。アートコーポレーションも学生が引っ越し関連の営業を経験できる。
インターンを通じて業界に対する学生の知識を深めたい企業がある一方で、参加学生を選抜して「水面下の選考を進める企業が増えている」(採用コンサルタントの谷出正直氏)。
人手不足が深刻化する中、学生をいち早く確保したい企業は多い。リクルートホールディングスによると、18年卒の学生の求人倍率は「売り手市場」の目安となる1.6倍を4年連続で上回った。
1日型の急増などで就活を事実上、半年近く前倒しする学生が増えるとの指摘もある。長期化する就活で学業がおろそかになる懸念もある。

日本経済新聞(2017.7.17)より抜粋